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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第5章 聖夜決戦


「髪の毛、ハーフアップが良さそうね」

「由香おばさんに任せるよ」


由香おばさんは丁寧且つ、素早く私の髪の毛を括り始めた。
初めての髪型に似合うのだろうかと思いながら、鏡に映る自分を見つめる。


「軽くお化粧もしましょうね。和泉は顔が良いから、派手にする必要はないから、薄らね」


ファデーション、チーク、口紅、グロス。
慣れない化粧品の匂いや、口元に付いた物に違和感を覚えてしまう。

鏡の中に映る私はいつもの私じゃなかった。
完全なる『女の子』の私であり、違和感を少し感じるけど不自然ではなかった。


「綺麗よ、和泉」

「……ありがとう」

「そうだ、それに似合うコート貸すわよ」

「いいの?」

「私の物だから、形は古いけど……そのワンピースに似合うと思うから」


ハーフアップの髪型、真っ白なワンピース、可愛らしいコート。


「完全に女の子だ」

「貴方、生まれた時から女の子でしょ」

「そうだけど……なんか、自分じゃないみたい」


これも全て、隆さんと出会った事で変わった事。
もし隆さんと出会わなければ、私は女の子でいたいなんて思うことはなかったはず。

この姿、鳴海ねぇや秋にぃに見せたかったな。

なんて思いながら鏡を見ていれば、ドレッサーの所に置いていた携帯が着信音を鳴らし始めた。


「あ……隆さん」


画面には『隆さん』という文字が表示されていた。
慌てて電話に出ると、隆さんの声が聞こえてくる。


『おはよう、和泉』

「おはようございます、隆さん」

『もうすぐで、家の所に着くから。着いたらまた連絡するから、家の中で温まってろよ』

「え、外で待ってますよ」

『だーめ。オマエ寒がりなんだから、ちゃんと家の中で待ってろよ。外出てたらデコピンだからな』

「……わかりました。大人しく家の中で待ってます」

『ん、いい子。じゃあ、またあとで』

「はい」


電話を切ると、横から視線を感じた。
なんだろうかと思えば、由香おばさんがニヤニヤとしながらこちらを見ている。


「……なに」

「貴方気付いてる?隆君と話してると、凄く嬉しそうにしているの」


指摘されて、顔が徐々に赤くなるのがわかった。


「顔真っ赤ね。王子様がお迎えに来るまで部屋で待ってなさい」

「分かってる!」
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