The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
部屋に戻ってから、隆さんがくれたワンピースが入っている袋を開けた。
「わ……」
中から出てきたのは純真な白のワンピース。
首元にネクタイのようなものがあり、緩く蝶々結びされていて、ウエストが締まった形のクラシカルなデザイン。
シンプルだが綺麗なワンピースに、思わず見蕩れる。
同時に隆さんに関心してしまった。
「凄い……こんな綺麗なワンピース作れるなんて」
店に置いていても違和感なんてない。
関心しながら、私はワンピースを切る。
慣れない為、少しだけ戸惑いながらも身にまとってから姿鏡で自分の格好を眺めた。
「おかしくない……よね?」
後ろを向けば、ワンピースがふわりとふくらむ。
似合うだろうか……そう思いながらも、由香おばさんの部屋に修二がくれたイヤリングと母さんに貰ったネックレスを手にして向かった。
由香おばさんは私が来ると直ぐに部屋に通してくれて、ドレッサーの前に腰掛けるように促した。
「そういえば……このネックレス」
「美里さんに貰ったのでしょう?」
「うん。でも、なんでエメナルドなんだろうと思って」
手の中で輝くエメナルドのネックレス。
何故、わざわざエメナルドにしたのだろうかと不思議に思ってしまう。
「エメナルドはね、12月25日の誕生日石なのよ」
「誕生日石……」
「そう。石言葉は幸運、幸福、愛、健康、希望。貴方にぴったりじゃない」
「……そうかな」
「貴方の両親はね、不器用な人よ」
急な言葉に眉間に皺を寄せる。
「不器用な人?」
「そう、不器用な人。いつか、なんで不器用なのか分かる。あの人たちが貴方にした事は許せたことじゃないけど……貴方はあの人たちを嫌わないでちょうだいね」
由香おばさんの言葉がいまいち理解出来ずにいた。
不器用な人というのはどういう事なのだろうか。
嫌わないでというのは何故なのだろうか……そう思いながらも、ネックレスを首にかけた。
「そのイヤリングはどうしたの?」
「修二が朝くれた」
「貴方に良く似合うじゃない」
「……うん」
そういえば……と気付く。
今の私が身につけている物のほとんどは贈られてきた物という事に。
手首にあるチャームブレスレットはけーすけ君から。
ネックレスは母さんから、ワンピースは隆さんから。