The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
ー12月25日ー
プルル·····プルル·····
着信音で目が覚めた。
寝起きでぼんやりとしている脳をなんとか起こしながらも、手探りで枕元に置いていた携帯を手に取る。
「誰·····」
携帯を開くと、画面には『修二』という文字。
「もしもし·····」
『ばは!寝起きの声だなぁ』
「お前の電話で起きた。なに?こんな朝早くから」
『今、お前の家の前にいるんだけどよぉ。出てこれる?』
「は?出てこれるけど·····なんで」
『出てきてからのお楽しみ♡』
ソファに掛けていたカーディガンを掴んでから羽織ると、私は廊下へと出る。
廊下はひんやりと冷たく、息を吐き出せば真っ白になっていた。
長い廊下を渡り、玄関まで辿り着くとバイクのエンジン音が聞こえてくる。
本当に外にいるんだなと思いながら玄関の扉を開ければ、そこにはバイクに股がっている修二の姿。
「どうした?こんな朝早くから」
「ほらよ」
突然修二から何かを投げられ、慌ててそれを受け取る。
「急に投げるな!」
ケラケラと笑う修二を睨み、手の中に収まる小さな白い紙袋を眺める。
「なに、これ」
「誕プレ。開けてみろよ」
言われたままに紙袋を開けて、中を見てからそれを手に取った。
群青色の星のイヤリング。
ラメが着いているのかキラキラと輝いて綺麗。
「綺麗·····。お前がこんなの選ぶの初めてじゃない?今まで煙草とか変な香水とかだったのに」
これまで修二が誕プレとして贈ってきたのは、自分が吸っている煙草だったり、独特な匂いがする香水だったり色々使いにくものなど。
だけどこんな誕生日プレゼントは初めてだった。
「せっかく女の姿になっても良いことになったんだから、可愛らしいものを贈ってやらうと思ってよぉ」
「お前にしては良い趣味」
「素直に喜べよ。そういやぁ·····お前今日、何処かでかけんの?」
「出かけるけど·····なに?」
修二の瞳が細まる。
何かを考えているのかどうか分からない表情に首を傾げていれば、彼は小さく笑った。
「いや、何でもねぇ。楽しい誕生日を過ごせよ、和泉」
「……お前、変なこと企んでないよな?武道と千冬と」
「なんにもねぇよ。さてと、じゃあオレは行くからな。誕生日おめでと」