The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
「和泉には関係ねぇから!」
その言葉にイラつきを覚えた。
ヒナと別れたということでもイラつきを覚えているのに、武道のさっきの言葉だけで怒りを感じる。
「私には関係ない、ねぇ……?お前まで、私に隠し事するんだな」
「え?」
「もういい。お前の好きにすれば」
修二にも問いただそうとしたが、はぐらかされ隠し事をされた。
それなのに武道にまで隠し事をされて、怒りを覚えて殴りそうになるのをなんとか耐える。
2人とも、私には隠し事はしないと小さい頃に約束したというのに。
なんでも話してくれる関係性だと思っていたのに。
「好きにしろ、どうなってもしらないからな」
それだけ言い残して、私は武道に背を向けて歩き出した。
イライラする。
ヒナの件と言い、隠し事をしている件も。
武道が何をしたいのか分からない。
何かあれば言えと言ったのに、その約束を破っている。
(私には関係ない……か)
私はお前がすること全てに協力したいというのに。
イラつきと悲しみと寂しさを抱えながら、私はいつの間にか隆さんの家の前にいた。
息を吐き出しながら、インタホーンを鳴らそうとすると玄関の鍵が開いた。
「え……」
「おっと……帰ってきたんだな」
中から出てきたのは隆さん。
私の姿を見て、少し驚いた表情を浮かべていたが、すぐに柔らかくて暖かい笑を浮かべる。
「迎えに行こうかと思ってたんだよ」
「そう、だったんですか……」
「……兎に角入れよ。寒かっただろ」
「……はい」
中に入るとじわりと暖かさが頬や手を撫でる。
ストーブの暖かさに目を細めていれば、隆さんが台所からシチューの入った皿を持ってきて机に置く。
「で、ヒナちゃん大丈夫だったのか?つーか、なんでタケミっち、ヒナちゃん振ったんだ?」
「実は……」
私はさっきまでの出来事を全て、隆さんに話した。
話している間、隆さんは眉間に皺を寄せて難しい表情を浮かべていた。
話し終えた頃、隆さんは眉間の皺を揉みながら息を吐き出す。
私は出された暖かいお茶を口にして、同じように息を吐きだした。
「なるほどな……。親が出たら……まぁ苦しいよな。だけど、ヒナちゃんの気持ちも考えてやるべきだったな、タケミっちは」
「ですよね……」