The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
ヒナとその場で別れ、私は隆さんにメールをする。
少し戻るのが遅れてしまうという内容を送れば、隆さんからは『風邪引く前に戻ってこいよ』という内容が少し遅れてから届いた。
今から武道を、私は殴りに行く。
理由を問いただし、もし可能なら復縁させるつもりだ。
武道の傍にはヒナがいるのが1番だ。
何があっても、あの二人を別れさせるのはよくない。
「なんの理由があって別れたのか……問いたださないとな」
武道に家の外で待っているようにメールを送る。
すぐに『なんで?待ってるけど』というメールが届いたが、それには返事はしない。
武道の家に辿り着いた時には、もうすでに外は雪に覆われていた。
雪を踏みながら武道の家の前に行けば、鼻や頬を真っ赤にさせた武道が立っていた。
目も真っ赤にないっている。
「あ、和泉。なんだよ急に」
文句言いたげな表情を浮かべる武道に近づき、勢いよくその頬を殴り飛ばした。
「いっ……!?な、にすんだよ!?」
「テメェ、なにヒナを振ってんだよ」
「へ!?な、なんでそれ知って……ていうか、ヒナのこと、名前呼び……」
「好きな子ができた?ヒナの事はもう好きじゃない?嘘ばっかり並べやがって」
武道は私の言葉に気まずそうにする。
やはり、この表情からして嘘をついたのは明白だ。
問題は、何故こんな嘘をついてまでヒナと別れたのかだ。
何かあったのだろうか。
ヒナと別れなければならないほどのことが。
「理由があるんだろ。言ってみろ」
「……ヒナのお父さんと今日、会ったんだ」
「ヒナの父親と?」
殴られた頬を撫でながら、武道はその場に胡座をかく。
「ヒナと別れてくれって」
「は?」
「オレは不良だから、ヒナを絶対に巻き込まないって言いきれないだろうって。だから別れてほしいって」
理由を聞いて、私は眉間のシワを揉む。
まさかの話に深く息を吐き出した。
父親が出てきたなんて思っていなかった。
しかも『別れてくれ』なんて言っているとは……。
「それで、『はい、わかりました』って言ったのか」
「だって、その通りだろ?ヒナを絶対に巻き込まないだなんて言えねぇよ。結局は未来でオレのせいで死んでるんだぜ?でも、オレと別れたら巻き込むこともないかもしれねぇじゃん!」