The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
さて、これからどうするべきか。
武道が何故、橘と別れることを選んだのが謎。
それを武道に聞きに行くとして、今の橘をどうするべきかも分からない。
こういう時、エマや鳴海ねぇなら気の利いた言葉や慰めの言葉をかけれるのだろうけれど、私はそうはできない。
「ねぇ、和泉君」
「ん?」
「今日、来てくれてありがとう」
「……お礼を言われることなんてしてないよ。橘、俺は……私は、橘のこと好きなんだ。橘が武道と一緒にいてくれるのが嬉しくて、愛しいんだ」
突然の私の言葉に橘は驚きを浮かべる。
自分でも何言っているのかさっぱりだから、驚いてしまうのは当たり前だ。
だけど、本当のこと。
私は橘が好きだし、武道と一緒にいてくれるのが嬉しくてそんな彼女達が愛しく思える。
「だから、2人がまた恋人でいてくれると嬉しい……。だから、武道のこと諦めないでほしいんだ」
「和泉君……」
「もし、武道が復縁したいと願ったら……その時は、いい返事をしてくれるかな?」
私の問に、橘は柔らかく微笑んだ。
「……もちろんだよ。それどころか、ヒナが諦めきれないから告白しちゃうかも」
そうやって微笑む彼女はとても美しかった。
武道はこんな女性を振るなんて、なんて事をしたんだと思ってしまう。
「ねぇ、和泉君。これからは、君の事情を知る人の前とかでは『和泉ちゃん』って呼んでもいいかな?」
「え?それは、別にいいけど……」
「良かった。それとね、ヒナのこと名前で呼んでよ。『橘』はなんか、他人行儀みたいな気がして。君ともっと仲良くなりたい。親友でいたいよ」
「……ヒナ」
橘よりしっくりくると感じた。
彼女の愛らしい名前、綺麗な名前な彼女にピッタリだ。
「和泉ちゃん。話を聞いてくれて、すぐに来てくれてありがとう。それだけでヒナ、凄く救われたよ」
「……それなら良かった。さてと、私は今から武道を殴りに行ってくる」
ゆっくりとブラコンから立ち上がれば、ヒナは驚いた顔をしていた。
「え!?殴りに行くの!?」
「こんな可愛くていい子のヒナを振ったんだ。理由を問いつめてくる。アイツがヒナ以外の子を好きになるなんて有り得ないし」
「……怪我、しちゃダメだからね」
「うん」