The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
可愛らしく女の子らしい黒のショートブーツ。
和泉はそのショートブーツを大層気に入り、三ツ谷から贈られたワンピースに合わせれるのではないかと思っていた。
「このショートブーツなんですけど」
和泉は携帯を取り出し三ツ谷に画面を見せる。
写真にはシンプルな黒のヒールの付いたショートブーツが映されている。
成程、これだったら自分が制作したワンピースに良く似合う。
三ツ谷は頷いてから画面のショートブーツを見て少しだけ目を見張る。
「これ、有名な所のブランドじゃねぇか……」
「え?ああ、そういえばそうですね」
「まぁ、和泉によく似合いそうだな」
それに自分が制作したワンピースも和泉に似合うと自信を持っている。
「そういえば、こっちに置いておく着替え持ってきたか?」
「あ、持ってきました」
「あんま物は入らねぇけど、押し入れに入れときゃ良いだろ」
「でも、本当に良かったんですか?私の服とか色々置いてもらって」
「ん〜、本当はオレの服を貸すのも良いんだけどよ。あれ、色々やべぇんだよな」
少し和泉には大きなスウェット、ずり下がりそうなズボン。
全てが可愛らしくて、色々耐えるのが大変なのだ。
こんな事和泉に言えるわけが無い。
三ツ谷が思っていることを露知らず、和泉は何がやばいのだろうかと首を捻る。
取り敢えずと、袋に入れてきた着替えを手に取った。
「ん、貸して。入れてくる」
「ありがとうございます」
「さてと、夕飯作らねぇとな。ルナとマナも帰ってくるだろうし」
ふと、和泉は外を眺める。
いつの間にか雪が降り出していて、屋根に雪が積もり始めていた。
このまま降り続ければだいぶ積もるだろう。
暫くして、ルナとマナは頬や鼻を真っ赤にして帰ってきた。
雪が降ってきた事に大はしゃぎしていて、三ツ谷と和泉はそんな2人に微笑む。
この時、武道と日向に何が起きているのかさえ知らずに……。
「そろそろ飯できるから、手ぇ洗ってこーい」
「「はーい」」
「わかりました」
三ツ谷の声で3人は立ち上がり、洗面台へと向かおうとした。
その時、和泉の電話が着信を知らせる音を鳴らす。