The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
嘘である。
実はと言うと、武道と千冬は聖夜である12月25日に黒龍とやり合う予定であった。
柴大寿との和平協定を結んだ後の事、八戒は武道と千冬に宣言したのである。
『大寿を殺す』
それを止める為にも黒龍を潰そうとしたが、ドラケン達からはそれを却下されたのである。
だが思いもよらない人物達がその話に乗った。
稀咲鉄太。
未来では強敵であり因縁の相手が、武道と千冬の話に乗った。
最初はどうするべきか悩んだが、黒龍を潰す為に協力関係を結んだ。
そこまでは良かったが…。
『せっかくだから、神澤君にも協力を頼むか?』
『それは駄目だ!!』
『何でだ?』
『それは…』
12月25日は和泉の誕生日。
しかも三ツ谷が一緒に過ごそうと話していたのに、そんな誕生日を潰したくは無い。
そのため、武道は稀咲に和泉は巻き込まない約束をさせた。
まさか、黒龍の件で話している時に和泉と遭遇するとは思っていなかった。
これは絶対に隠さなければと武道と千冬はお互い同じことを思った。
「何でもねぇよ、本当に!ただ世間話してただけだから!」
「そうだよ!」
「お前らが、稀咲と修二とねぇ……」
明らかに怪しい。
和泉は目を細めながら二人を見てから、稀咲と半間の方へと視線をやる。
「何でもねぇよ、和泉〜。ただ本当に世間話をしてただけだぜ?なぁ、稀咲」
「ああ。そういえば神澤君はもうすぐで誕生日だったな。いい日を過ごせよ」
気味の悪い笑顔を浮かべる稀咲に和泉は眉を寄せる。
何か企んでいるなと薄々勘づいてはいたが、恐らく武道達は頑なに話そうとはしないはず。
言えないことなのか。
和泉は溜息を吐き出しながらも、武道と千冬へと視線を向けた。
「本当に、なんでもないんだな」
「「おう!」」
「……分かった。でも、何かあれば呼べよ」
「呼ぶ呼ぶ!」
「ほら、和泉寒がりなんだから早く家に帰れよ!風邪ひいちまうぞ!」
背中を押された和泉は怪しく思いながらも、渋々と家へと帰ることにした。
「本当に大丈夫なのか…?」
怪しいとは思ったし、嫌な予感もした。
だが2人が頑なに話さない。