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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第5章 聖夜決戦


「……嫌じゃないですけど」


結婚は考えたことは無いと言えば嘘になる。
隆さんのような人と結婚できれば、どんなに幸せなんだろうと考えたことがあった。

でも、隆さんと出会う前はそんな事考えた事も無かった。
結婚なんてするつもりもなかったし、どうせしても幸せなものじゃないのは分かりきっていた。


(でも今は……でも、隆さんと結婚するまで一緒にいられるのかな……)


未来はどうなっているのか分からない。
最悪な物になっているのか、良い方向に向かっているのかも。


「……そういえば、柚葉、なんか言ってましたか?」


暗い方に考えそうになり、慌てて話題を変えた。
小っ恥ずかしいのもあったし、あれ以上考えていたら不安が大きくなる。


「あー……まぁ、色々な」


歯切れの悪い言葉。
その言葉に違和感を覚え、隆さんを見る。


「何か、あったんですか?」

「いや、何でもねぇよ。なんでもない」

「…本当に」


本当に何でもないんですか。
そう聞こうとした時……。


「お兄ちゃーん!和泉お姉ちゃん!早くー!!」

「おーう。ほら、行こうぜ和泉」

「あ……はい」


気になったけれど、話が逸れてしまった。
柚葉と一体何があったのだろうか……そう思いながらも、私達は家を出て、イルミネーションを見に向かった。

クリスマス間近の街中はイルミネーションで輝いている。
その輝きは綺麗なもので、何時見ても飽きやしない。


「きれーい!」

「すごいすごい!」


ルナちゃんとマナちゃんは大はしゃぎ。
周りにいる子供たちもはしゃいでいて、それを両親たちが微笑ましそうに見つめている。


(そういえば……昔、鳴海ねぇと真一郎君でイルミネーション見に行った時……鳴海ねぇと真一郎君があんな表情してたな)


まだ小さい時だったから、イルミネーションではしゃいでいて2人があんな風に優しい瞳で見つめていた。


『和泉、嬉しそうだな』

『そうだね。真一郎、また見にこうよね。次はエマと万次郎も連れてさ』

『だな』


2人が嬉しげに話していたのを思い出す。
あの時は本当に幸せだったなと思いながらイルミネーションを眺めていれば、風の冷たさで体温が失われていた手を暖かい手が包み込んだ。


「え……」

「綺麗だな。な、和泉」
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