The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
「ホント…ホントにごめん……ホント」
「いや……あの…」
本日二回目の三ツ谷先輩の土下座を見た。
違いと言うと1回目は申し訳なさげに、2回目は顔を真っ赤にしている所だろうか。
バスタオルに裸という姿を見られた後、三ツ谷先輩の叫び声を聞きつけたルナマナちゃんがやって来た。
そして三ツ谷先輩はそんな2人に引っ張られて脱衣場から消えて、今現在こうして土下座中。
「あの、あれは俺も悪いというか……」
「いやいや。オレが悪ぃ…和泉が待てって言ってんのに入っちまったわけだし……ていうか待てよ?」
「はい?」
「マイキーとドラケンは和泉が女って知ってんのか!?」
「あ、ああ…知ってますよ。直ぐに龍宮寺先輩が気付いたみたいですけど……」
俺が女と見抜く人間はそういない。
だからあの時はかなり驚いてしまったのを覚えているが……三ツ谷先輩に女とバレたやつも結構驚いたものだ。
「知ってんのか…知ってんのかよ。知ってんのに東卍に入れようとしてんのか!?」
さっきまで顔を真っ赤にさせていたのに、次は目を見開きながら俺に迫ってくるので思わず座ったまま後ろに下がってしまった。
だが直ぐに落ち着いたのか分からないが、深い深い溜息をついて座り直した。
結構感情の起伏が激しいのかと首を小さく傾げる。
「あー…三ツ谷先輩は女である俺が東卍に入るのは嫌ですか?」
「なわけねぇだろ。んなの差別に繋がるし…第一鳴海さんも女だけど男だらけのチームにいたし」
「そうですか…」
「でもな…普通はな……隊長達にも相談するもんだろアイツら!!」
あ、そこに対して怒っているのか。
俺は数回瞬きをして、ユルユルの大きいスウェットの余った袖を握る。
「はぁ……マイキーのやつ相談無しで何でもかんでも決めやがって…。ドラケンも何も言ってこねぇし」
「ねぇねぇ!」
するとスウェットを引っ張られて振り向けば、そこにはルナマナちゃんがいた。
ニコニコの笑顔を浮かべており、何処か上機嫌に見えるので首を傾げる。
「お兄ちゃんじゃなくて、お姉ちゃんなんだね」
「綺麗なお姉ちゃん!」
「あ、ありがとう…」
「お姉ちゃん髪キレー!顔も美人さんだね」
何故かさっきよりも妙に懐かれている?
そう思いながら、ギューギューと何故か抱きしめられる状態に戸惑った。