The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
ピリついた空気の中、大寿の後ろには青宗と九井が立ち、隆さんの後ろには私と八戒に武道と千冬が立つ。
隆さんは大寿に何を話すつもりなのだろうか。
黒龍に八戒は渡さないと言うのだろうか……。
「で?話ってなんだよ?手短に言えよ?」
「八戒は黒龍に渡す。金輪際関わらねぇ」
その言葉に、全員が驚愕した。
「隆さん……!?」
「え!?三ツ谷君、それ話違くないっスか!?」
「ハハ、おもしれねぇな。それを、止めに来たんじゃねぇのか!?」
「その代わり、柚葉を解放しろ。そして和泉にタケミっちを脅しに使って黒龍に入れようとするのは辞めろ」
「え!?」
誰もが驚き、目を見張る。
私の事は置いておいて、柚葉を解放しろというのはどういうことなのだろうか。
「タカちゃん……なんでソレを……?」
「大寿君。柚葉になんかさせてんな?」
「柚葉に……?」
「八戒は、ずっと姉貴(ユズハ)を守ってきた」
「え?」
「兄貴の暴力(DV)からな」
「おもしれぇ冗談だな!」
八戒の方へと視線を向ける。
彼は目を見張りながらも、隆さんを見ていた。
「八戒はアンタにびびって東卍を抜けるんじゃねぇよ。柚葉を守る為だ!」
その瞬間、大寿は身を乗り出して隆さんに殴りかかった。
「いっ!!?」
「タカちゃん!!」
「隆さん!」
だが、隆さんは左腕で殴りを受け止めていた。
その事に安堵して息を軽く吐き出す。
「へー……やるな」
「もう一度言う!八戒は黒龍に譲る。柚葉は解放しろ!そして和泉を金輪際黒龍に無理やり勧誘するな!この条件を呑むなら、東卍は黒龍に手ぇ出さねぇ」
「断ったら?」
「全面戦争だ」
まさか、隆さんがこんなことを言い出すとは思わなかった。
私は正直黒龍に入ってもいいと思ってはいた。
そうすることで、八戒を止めることが出来るかもしれないからと。
(八戒を引き渡す条件で、私を庇った……)
だが、大寿はこの条件を飲むだろうか。
あれだけしつこく勧誘してきたが、諦めるだろうか。
「いーねぇ。和平成立だ」
大寿が隆さんの手を握り、隆さんが握り返す。
お互い握手を交わしたのである。
「まぁ、オレはDVなんてしてねぇけどよぉ……約束してやる。二度と柚葉には手は出さねぇ、そして神澤を勧誘しねぇ」