The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
煙草の匂いが香り、眉を寄せていた時。
手首を急に掴まれて引き寄せられた。
「あっ…」
「半間、近すぎなんだよ」
引き寄せたのは隆さん。
不機嫌そうな表情を浮かべながら、修二を睨みつけている。
そんな隆さんに修二は笑みを浮かべながら小さな声で『ウゼェ』と呟く。
「幼馴染なんだ、近くて何が悪い?」
「ベタベタしすぎなんだよ。それと首、触るんじゃねぇよ。痛めてるのに悪化したらどうするつもりだ?」
「おい!三ツ谷も半間も辞めろや。少しは大人しく出来ねぇのかよ、オマエらは」
雰囲気が悪くなりかけた時、龍宮寺先輩が呆れた声で仲裁に入る。
修二は舌打ちをして、隆さんは不機嫌そうなまま私の腕から手を離した。
隆さんは元いた位置に戻り、私は武道の隣に立つ。
「大丈夫か?」
「うん」
「和泉、ムーチョ君に凄むのやめろよ。焦った」
「仕方ねえだろ…というか、オマエこのままだと八戒が辞めるぞ。千冬と計画立てただろ」
「あ、うん!」
あの夜、千冬と計画を立てて策は練っている。
『いいか、タケミっち。2日後の幹部会で、おそらく八戒は東卍をやめる。そしてオマエの言う未来に繋がる。未来を変えるには八戒の東卍離脱を絶対に阻止するべきだ』
『黒龍に八戒が入れば、アイツは大寿を殺す可能性があるからな…』
『でも……どうやって?』
多少不安はある作戦ではある。
だが、反対したら『じゃあいい案はあんのかよ!?』と千冬に言われて黙ってしまった。
「言い訳するつもりはねぇ。煮るなり焼くなり好きにしろ」
八戒はそう言いながら、正座をした。
「奴と兄弟である時点でその覚悟はしている。だから総長!!東京卍會 弐番隊 副隊長 柴八戒。本日をもって東卍をやめさせていただきます!!」
「……それでいいのか?」
佐野先輩の問に、誰も答えない。
それが1番いいと思っているのかもしれない。
そんな時、武道の叫び声が響いた。
「ちょっと待ったぁあ!!異議アリです!」
「……タケミっち……」
私は不安である。
絶対にその作戦は成功しないと分かっているから不安である。
『でも……どうやって……八戒の東卍離脱を阻止できるんだ?』
『オレに策がある!まずらプランAだ!』
『なんだろう……私、すごい不安なんだが……』