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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第5章 聖夜決戦


スマイリー先輩は相変わらずの微笑みを浮かべている。
だがその頬には青筋が浮かんでいて、八戒はその言葉に喉を鳴らしながら俯く。

八戒は恐らく大寿が家にいないと思ったはず。
ろくに帰って来ないと言っていたし、だから武道を連れていき私を呼んだのだろう。


「オイ、八戒。テメェ黒龍の回し者なんじゃねぇのか!?コノヤロウ」

「総長の弟だしなぁ?」

「それを隠してやがったなぁ!?」


武藤先輩が八戒に詰め寄る。
確かに八戒は兄である大寿が黒龍の総長であるのを隠していたが、回し者ではない。

そう思ったのは私だけじゃなかったらしい。
武道が慌てて武藤先輩に声をかけた。


「ちょ……ちょっと待ってくださいよ。八戒はそんなつもり……」

「テメェは黙ってろ!!」

「うっ」

「八戒が黒龍の回し者という証拠は無いでしょうが」


私が言葉を挟めば、武藤先輩が苛立った瞳で見てくる。
矛先が私に変わるだろうかと思っていれば、稀咲が視界の中に入ってきた。

ニヤリと笑っている顔。
何かを企んでいるかのような顔に、眉を寄せる。


「そういえば、神澤君は黒龍の乾青宗と九井一と旧知の中らしいじゃねぇか」

「……何が言いたい、稀咲」

「黒龍のメンバーと旧知の仲?それじゃあ神澤、テメェも黒龍の回し者か?」


武藤先輩の言葉に苛立ちを覚える。
ただ、黒龍のメンバーと旧知の仲というだけで、ただ黒龍の総長の弟というだけで疑われるということに。


「アンタらはただ旧知の仲だったり、弟だったりするだけで疑うのか。しょうもない奴らばかりだな」

「なんだと…!」

「辞めろや、ムーチョ、イズミっち。今は言い争ってる場合じゃねぇだろうが」


一触即発状態の時、龍宮寺先輩の声が聞こえ、私も武藤先輩は舌打ちをしながら視線を逸らす。

稀咲は何故、隆さんと佐野先輩と龍宮寺先輩にしか話していない事を知っていたのだろうか。
青宗と九井と旧知の仲というのは限られた人間しか知らない。


(何処で嗅ぎつけた……)


情報収集でもしたのだろうか。
それとも調べたのか…と思っていた時であった。


「そんなカッカすんなよ、和泉〜。首、大丈夫?首締められたんだってなぁ」


後ろから修二に覆いかぶさられ、首の包帯をスリッと撫でられた。
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