The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
未来の話を聞いただけでも腸が煮えくり返るかと思った。
稀咲の勝手な思想で殺されているし、大切な人は奪われたものだし。
「稀咲はやっぱり場地しんの仇なんだな?」
「ああ、間違いねぇ。ハッキリと未来の稀咲の口から聞いた」
「絶ッ対ェブッ殺す!……でも今じゃねぇ……。稀咲率いる参番隊は隊員数100人。さらに元芭流覇羅から新設された陸番隊もいる。それに対して、オレとオマエらは新造壱番隊。まだ上手く機能してない」
「雲泥の差だな……」
「武道はまだ隊長になったばかりだし、力の差もあるしな」
「ああ。でもワクワクするな!タケミっち、和泉」
「え?」
千冬は言葉通り、何処かワクワクとしている。
力の差があったりと、行先は暗いだろうにそれを感じさせないぐらいに明るい瞳をしていた。
「オマエはこれから誰にも負けねぇ壱番隊を創るんだ。タケミっち。ゼロからのスタートだけど、オマエならできる!黒龍だろうが、稀咲だろうがぶっ潰せ!オレが、オレと和泉が支えてやる!それが全部を話してくれたオマエへのオレの答えだ!」
「千冬……」
「これからもよろしくな!和泉も、一緒にタケミっちを支えようぜ」
「……ああ」
差し出された手を握る。
こんなにも頼もしい仲間が出来るなんて、思っていなかった。
「よーし……。やってやんぜ!相棒!!和泉もよろしくな!」
「こちらこそ」
力強く、頷いた。
1人でも武道の味方になってくれる人物が現れて、本当に良かったと思える。
事情を知り、尚且つ味方になったならば、未来が変わる可能性は大きくなった。
私だけじゃどうしようも出来ない未来が、変わるかもしれない。
「あっ!タケミっちオマエ、オレのラーメン全部食った!?」
「え?うん……くれたじゃん」
「バカ!一口食ったら普通返すだろ!!?」
「え?何そのオマエルール」
「謎なルールじゃん……」
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「いよいよか……」
廃墟となったビルを見上げながら呟く。
今日は幹部会議。
内容は黒龍の事なのは決まっているし、八戒の件も追求されるだろう。
「八戒、オマエ……本当に黒龍に入るのか?」
隣にいる八戒は、小さく頷いた。
「八戒……」
「タケミっちも、和泉もごめんな。迷惑かけて」