The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
武道の話は、誰が聞いても最初は疑うはず。
私も最初は驚いたし、そんな事があるのだろうかと思ってしまった。
千冬は信じることがちゃんと出来たのだろうか。
本当に信用しているのだろうか……と、じっと瞳を見つめる。
隣にいる武道は少しハラハラとした様子を見せていた。
「信用してる。というか、なんとなく気付いてた」
「え?」
「考えてみれば、変なところはあるし雰囲気は違ぇし。話聞いて納得した。コイツすげぇよな。未来から来て、過去を変えようと必死になってんだから。胸張ってもいいぐらいだぜ」
千冬の笑顔が、なんとなくけーすけくんと重なった。
心配したけれど、千冬に武道を託しても大丈夫な気がした。
相棒と呼ぶ中に嫉妬はしたけれど、相棒であるのは間違いない。
「そっか。それ聞けて、安心した」
「和泉って、タケミっちの事になると過保護だよなぁ。もし、オレが信用してねぇって言ったら殴られそうな雰囲気だったし」
「まぁ、殴ってたな」
「物騒なんだけど!?」
「ていうか、和泉はずっとタケミっちに協力して必死に場地さんを助けようとしてんだな」
その言葉に小さく頷く。
結局、けーすけくんの事は助けられなかったし心残りが沢山ある。
「すげぇよな、オマエら幼馴染は」
「褒めすぎだよ、千冬」
「照れんなよ、タケミっち。気色が悪ぃ」
「ひでぇな!?」
なんとなく、けーすけくんが千冬を可愛がってた理由が分かった気がした。
そして武道が千冬に話そうと思った事も、理解出来てきて、私はとあることを決意する。
「じゃあ、武道が秘密を話したんなら、俺も話そうかな」
「え?まさか、和泉も未来から来たとか!?」
千冬の言葉に小さく笑う。
「違ぇよ」
私は短髪のウィッグを外した。
ふわりと長い髪の毛が風で靡いていき、千冬の瞳に女である私が写る。
「私、本当は女なんだ」
「え……」
「家の事情で、ずっと男装していたけど正真正銘の女」
「え……は、え……ええ!!??」
千冬は目玉が落ちそうなぐらいに見開き、夜の公園に響き渡る声量で叫んだ。
その様子に私はケラケラと笑い、武道も可笑しそうに笑っている。
「お、女だったのか!?え……こ、この事、マイキー君たちは……」
「知ってるよ」
「ば、場地さんは!?」