The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
その日の夜。
三ツ谷家で食事をした私は、流石に連日泊まるのは申し訳なくて神澤家に帰ることにした。
武道の様子も気になる。
怪我は手当したが、あまり酷いようなら病院にかつぎ込もうと思っていた。
「本当に送っていかなくていいのな?」
「大丈夫ですよ。寄りたいところもありますし」
「……でもな」
恐らく、隆さんが気にしているのは黒龍のこと。
私も少しだけ気にしてはいるけれど、昨日の今日で急に動くとも思えない。
だが、油断は出来ない。
柴大寿は油断も隙もない男であり、容赦のない男である。
いつ武道がまた狙われるかどうか分かりやしない。
「何かあれば、連絡します」
「そうしてくれ。じゃあ明日……幹部会議でな」
「はい」
明日は会議がある。
もちろん議題は黒龍の事と八戒の事だろう。
きっと荒れるのだろうと思いながら、隆さんに手を振って帰路に着く。
暗い夜道、人の気配に気を回しながら歩く。
いつあの二人が後を付けてくるか分かったものじゃない。
そう思いながら警戒していれば、ポケットに入っていた携帯が鳴った。
「メール……」
携帯を開けば、メールを受信している。
送り主は花垣武道となっていて、何かあったのだろうかと少し焦りながらメールを開いた。
『話があるから、○○公園に来て欲しい』
簡潔で短いメール。
話があるというのは、黒龍の事だろうかと首を捻りながら『今から行く』と送信して公園へと向かった。
公園からは距離がある。
そのため、タクシーを拾ってからその公園へと向かった。
何処にいるのだろうかと視線を彷徨わせている時。
「和泉!」
名前を呼ばれ、そちらへと視線を向ける。
そこにはダサいスウェット姿にボロボロの顔をした武道と、千冬の姿があった。
「千冬?」
「よぉ、和泉。首、大丈夫か?」
「え?あ、まぁ、平気だよ。ていうかなんで千冬がいるんだ?話と関係あんの?」
千冬を指さしながら聞けば、武道は深く頷いた。
「千冬にさ、オレが未来から来たことを話したんだ」
「え?」
「千冬になら話しても良いと思った。で、和泉にも報告しようと思って」
「……千冬、お前は信じたの?武道の話」
じっ……と千冬の瞳を見つめる。