The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
隆さんの顔が近づいた。
その近さに驚いた瞬間、首元に彼の唇が触れた。
「んっ……!?」
「しー……。ルナマナが起きちまう」
首に触れた唇に驚けば、隆さんは首に唇を寄せながら呟く。
その擽ったさに身を捩れば、それを許さないと言わんばかりに抱きすくめられる。
「たか、し……さっ……」
「気に入らねぇよ、ホント。この首の痕」
苛つきが混じった声が聞こえたのと同時に、首元を吸われる感覚に身体を跳ねさせる。
何度も何度も首元を強く吸われて、声が漏れそうなのを必死に堪えた。
「はっ……ん、っ……ひゃっ」
「可愛い声、あんまり出さないで。我慢出来そうにねぇから」
「じゃ、やめて……くださいっ」
「それは無理」
即答で言われて為す術がない。
唇が触れる擽ったさと、その唇の熱さに初めて抱かれた日を思い出してしまう。
じわりと身体に火が灯る。
火照り出した身体が、じわじわとあの日の快楽を思い出しているようで身体が震え出した。
「たか、しさ……も、やだ……」
じわりと目元に涙が浮かぶ。
するとやっと隆さんは首元から顔を離して、私の顔を覗き込むように見る。
その瞳は熱があり、あの日のような欲が混じったもの。
「そんな顔されたら、止めらねぇだろ……」
「あ……」
切羽詰まっている、低い声に身体が震える。
「物欲しそうな顔して……せっかく、明日まで待ってやろうと思ったのに。無理じゃねぇか……」
「だ、め……ルナマナちゃんが……」
「うん、起きちまうから……静かにな」
ニヤリと笑う顔に背筋がゾクリと震わせていれば、スウェットの間に手が差し込まれる。
熱くて少し豆が出来ている手に震えてしまう。
「和泉……」
名前を呼ばれ、唇を奪われる。
息まで奪われるようなキスに頭がクラリと揺れた心地に襲われた。
「んっ……ふぅ、あっ……んぅぅ」
「はっ、……ふっ」
口を開いていれば、そこから隆さんの舌がぬるりと入ってきて舌を絡め取られた。
絡められ、吸われ、時折優しく噛まれて……深いキスに溺れている中で、水音が響いている事に気が付く。
隣に聞こえてしまう。
慌てた私が唇を離そうとしたけれど、隆さんに抱き寄せられて動けなかった。
「和泉……逃げないでくれ」