The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
佐野先輩の言葉に瞬時に返事をした龍宮寺先輩は携帯を開いて、メールを送信しだした。
黒龍が東卍メンバーに対しての事件……血のハロウィンも落ち着いた頃というのに騒ぎがまた起きてしまうとは……と思いながら息を吐き出す。
「明後日、幹部会議を開く。その時に改めて八戒やタケミっち……もちろんイズミっちから話を聞くから」
「……はい」
「じゃあ、オレはそろそろ帰るよ。ケンチン、帰るよ」
「おー。取り敢えずイズミっち、首のこともあるから安静にな」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ、三ツ谷。イズミっちのことお願いね」
「言われなくても」
やっぱり隆さんは不機嫌である。
普段は穏やかな人だし、喧嘩の時はガラは悪いけどここまで不機嫌なオーラを出す人じゃない。
それなのに今は、私が思わず萎縮してしまうほどに機嫌が悪い。
隆さんは佐野先輩と龍宮寺先輩を見送ってから、部屋の中に入ってくる。
眉間にはシワが寄っていて、私は視線を思わず畳へと落とした。
(隆さん、なんでこんなに機嫌が悪いんだろ……)
もしかして、八戒の事なのだろうかと思って直ぐに納得した。
可愛がっていた弟分が突然東卍を抜け、黒龍に入ると言い出したのだから機嫌も悪くなるものだ。
そう思っていれば、隆さんは台所の方へと歩いていく。
「飯、食ってないよな?」
「え?あ……はい」
「和泉の分あるから食えよ、オムライス。今、温めるから」
「あ……ありがとうございます」
レンジで温めたオムライスは湯気が漂っていて、とても美味しいそう。
だけど目の前に座っている隆さんの不機嫌そうな表情を見て、少しだけ食べ辛くなってしまう。
「どうした?食わねぇの?」
「いや……あの、隆さん……機嫌悪いなって」
「当たり前だろ。大事な恋人が首締められた挙句、その恋人の大切な幼馴染を脅しに使われて黒龍に勧誘されてんだから」
「え?」
「なに驚いてんだよ」
私は、てっきり八戒の件で機嫌が悪いものだと思っていた。
まさか私が理由で機嫌が悪くなっているなんて、一切思っていなかったから驚いてしまった。
「私、てっきり八戒の件で機嫌が悪いものかと思ってたので」
「まぁ、八戒の件もある。でも1番はオマエが理由だから」