The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
彼女はまさか、武道を使って脅されるとは思ってはいなかった。
そして大寿の言葉が重く重くのしかかっていた。
「武道が私の弱点……か」
まったくその通りである。
和泉にとって武道はかけがえのない存在であり、彼の生命を脅かされたら下手に動けない。
大寿はよく知っているものだと、変に関心してしまう。
黒龍に入るべきか否か。
黒龍に入らなければ、武道は殺される。
黒龍に入れば武道は安全かつ、八戒の事を止められる。
「……どうするべきかなぁ」
そう思いながら歩いていれば、とある場所に来ていたことを和泉は気付いて絶句した。
目の前には三ツ谷が住んでいるアパートがある。
来るつもりは無かったのだ。
メールで行けないと伝えるつもりだったのに、無意識に彼女の足は三ツ谷の家に向かっていた。
(首のこともあるし、今日は来ないでおこうと思ったのに……)
帰ろう。
そう思い踵を返そうと思った時、後ろから足音が聞こえた。
「イズミっち?」
「っ!?」
驚いて振り返れば、そこにはマイキーの姿があった。
そして後ろにはドラケンと三ツ谷の姿もある。
「あ……」
「和泉!丁度良かった、さっき八戒から電話があったんだ……って、オマエ!その首どうした!?」
三ツ谷は目ざとく和泉の首に巻かれている包帯に気付いた。
そして駆け足で近寄ると和泉の腕を掴み、目を見開かせる。
「その……これは……」
何があったか話せば、三ツ谷はどうするだろうか。
怒るだろうか……と思いながら和泉は三ツ谷から目をそらす。
「イズミっち、ついさっき八戒から東卍を抜けるって連絡があったけど……その首、その事と関係してる?」
鋭いと和泉は感じながら、逸らした視線を元に戻す。
マイキーは無表情であったが、三ツ谷とドラケンは険しい表情を浮かべている。
「和泉、何があったか話してくれ」
「……はい」
三ツ谷に腕を引かれ、和泉は彼の家へと入った。
中に入ればルナとマナの姿はなく、2人と三ツ谷の自室がある部屋から話し声が聞こえてくる。
どうやら2人は自室の方に居るようだ。
「で、何があったわけ?八戒のからはタケミっちの件も聞いてる」