The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
2人は和泉が来ることを知らされていなかったのか、大層驚いた顔をしている。
そして大寿は大きなソファにふんぞり返ったように座り、和泉を見るなりニヤリと笑った。
「よく来たな神澤。待ってたぜぇ」
「柚葉と八戒を殴ったのか、クソ野郎」
「躾だ。これは愛のある躾なんだよ」
「暴力に愛もクソもあるものか」
暴力に愛なんてない。
それは1番和泉が分かっていることだ。
親戚に暴力を振るわれていた時、そこに愛なんてなかった。
ただの憂さ晴らしであり、躾という名のただの暴力だ。
「本題に入る。神澤和泉、黒龍に入れ」
「何度も言うが、断る」
「あ、兄貴……。なんでそこまで和泉に拘るんだよ。それに和泉は東卍の隊員だ。壱番隊の隊長と副隊長の補佐で総長補佐だ」
「本当に東卍に入ったんだな。オレがあれだけ、黒龍に入って欲しいって言ったのに……」
青宗の声は酷く小さいものであり、寂しそうであった。
その声に和泉は眉を下げだが、何も言わずに目線を床へと投げる。
「言葉で言っても聞けねぇなら……仕方ねぇ。こうするか」
大寿は笑みを深くさせるとソファから立ち上がった。
そして勢いよく手を動かすと和泉の首を掴んで、そのまま持ち上げた。
「ぐっ……!?」
「大寿!?何してんだ、和泉を離せ!」
「兄貴!?」
大寿よりも小柄な和泉は空中に持ち上げられ、首は力強く締められていた。
首を絞められている苦しさで顔が歪んでいき、息がしづらくなっていく。
「神澤。オマエが黒龍に入らねぇと言うなら、こっちにも考えがある。オマエの幼馴染、花垣武道を殺す」
「っ!?て、めぇ……」
「兄貴!話がちげぇよ!!オレが黒龍に入るんだから、タケミっちには手を出さねぇ約束だろ!?」
「八戒、これとそれとは話が違ぇんだよ」
大寿は笑いながら首を絞める力を強め、和泉は苦しさと怒りで目の前が歪んでいく。
「オマエは強い。だが、弱点がある。オマエの弱点は花垣武道だ。どうする?黒龍に入ると言わなければ、このまま首を絞め続けて花垣武道を殺す」
「っ、ぐっ……ぅ」
「さあ、どうする!?神澤和泉!!」