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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第5章 聖夜決戦


「ごめん……和泉。ごめん……オレ、サイテーな野郎に成り下がってたんだ」


ボロボロと涙を零す武道は和泉の顔が見れなかった。
未来で、自分が目の前にいる和泉を命令して知らなかったとはいえ殺害してしまったのだから。

軽蔑されたはず。
そう思っていれば、和泉は静かに武道を抱き締めた。


「和泉……」

「辛かったな」

「っ」

「軽蔑なんてしない。オマエは、稀咲に利用されただけだ。それに本当に最低な奴なら、また過去に来て助けようなんてしないんだよ。オマエは、今も昔も変わらず……泣き虫なヒーローだよ」


その言葉に武道の瞳からはまた涙が溢れた。
そして和泉を抱き締めながら、わんわんと大泣きした。
まるで小さな子供のように泣き、和泉は泣き止むまで武道の背中をさすっていた。


暫くして。
武道は落ち着きはじめ、涙を拭いながらしゃくりをあげる。
そんな彼の泣き顔は小さい頃から変わらず、和泉は小さく笑った。


「落ち着いたか?」

「うん……」

「にしても、稀咲がやっぱり裏で手を引いてたんだな。それに八戒までが……」

「……今の八戒からは考えられないよな」

「……八戒が、大寿を」


今の八戒からはとても考えられないことだ。
あんなに大寿に怯えきっていたのに、人を殺しそうにないのに。
何があったのだろうかと和泉は顎を擦りながら考え後でいた。
そんな和泉を見ていた武道はある事を思い出した。


「そ、そういえば!和泉って、黒龍のココ?ってやつともう1人と知り合いだったのか?柴大寿とも顔見知りみたいだったけど」

「ああ……ココこと九井と私を羽交い締めにしていた奴はね腐れ縁なんだよ。とくに羽交い締めにしてきてた奴は小さい頃からの知り合い。で、大寿は……私の家に目をつけて、勧誘して来てたんだよ。黒龍に」

「……そうだったんだ」

「まあ、黒龍に入る気はサラサラ無いけどな」


そう呟いた時、和泉の携帯がメールが来たことを知らせる音楽を鳴らした。
誰からのメールだろうかと思い、携帯を開いた和泉は一気に眉を寄せる。

メールの送り主は九井から。


『大寿がオマエに話があるとのことだ。柴家に来い』


短い文書に和泉は舌打ちする。
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