The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
「兄貴……ソイツはこの辺が黒龍のシマだって事知らなかったんだ……だから……」
「んなことたぁ聞いてねぇぞ。オレの命令が聞こえねぇのか?テメェは東卍である前にオレの弟だ。つまり兄であるオレの命令は絶対だ。家族の絆な仲間のソレより上だろ?」
大寿の言葉に八戒の顔色がどんどん悪くなる。
怯えきった様子は、普段の八戒からは想像できないもの。
和泉と武道はその事に驚いてしまっていた。
荒い息を吐いて、瞳孔を震わせる八戒。
そんな八戒を見かねて、柚葉が口を挟んだ。
「大寿!八戒をあんま追い詰めんなよ!」
そんな柚葉を横目で見た大寿は、何の躊躇いもなく拳で柚葉の顔を殴った。
「柚葉ぁ。テメェの躾の問題だぞ、これは。あとでたぁっぷり教えてやる」
「柚葉!テメェ……青宗、離せ!」
「駄目だ。お前はここで見ていればいい」
力強く青宗は和泉を押さえ付ける。
そんな中で、殴り飛ばされて倒れていた武道は起き上がりながらその目に怒りの火を灯していた。
「兄弟って言ったって、柚葉は女だぞ。テメェな女を殴んのかよ!!?」
「柴家の問題に口出すんじゃねぇゾ、クソガキ。八戒、見とけよ。兄ちゃんが代わりに尻ぬぐいしてやる。これが絆だ!!」
叫んだ大寿は重い拳で武道を殴り飛ばす。
何度も何度も殴り、鈍い音が住宅街に静かに響いている。
そんな武道を見た日向はついに耐えきれなくなった。
「いい加減にしなよ!!」
立ち向かおうとした日向だが、その手を柚葉によって止められて引き止められてしまう。
「柚葉ちゃん」
「ダメだよヒナ!大寿はアンタにも容赦しない」
「……っ、でも黙って見てらんないよ!!タケミチ君死んじゃう!!」
「離せって、言ってんだろ!!」
和泉もとうとう耐えきれなくなり、青宗の顔に頭突きを見舞わせると拘束が緩んだ。
その隙に青宗を蹴り飛ばしてから、地面を蹴り上げてからふわりと飛ぶと大寿の顔に蹴りを入れた。
グラッと大寿の身体が揺れる。
小さな身体ながらも和泉の蹴りは威力があった。
「調子に乗るなよ、柴大寿」
「いい蹴りだなぁ、神澤。だけど、お前のボスになる人間に足を出すなんて、躾がなってねぇ。良いぜ、お前も躾てやる」
「誰がテメェの下に降るか」