The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
腹の奥底に響く笑い声を発した大寿は、そのまま武道を軽々と殴り飛ばした。
「タケミチ君!」
「下がってな!!」
殴り飛ばされた武道に日向が駆け寄ろうとするが、柚葉が直ぐさま遮った。
柴大寿は女にも容赦することがない……今、近寄れば間違いなく大寿により日向も暴力を振るわれる可能性がある。
そんな時であった。
ふわりと和泉が軽く飛び、そのまま右足を大寿へ目掛けて振り落とされる。
だが、大寿はそれをすんなりと受け止めた。
「チッ!」
「ああ?神澤和泉じゃねぇか!やっと黒龍に降ることを決意したか?あ!?」
「ふざけるなよ、柴大寿。誰が汚れきった黒龍なんぞに……」
蹴りを受け止められた事や、武道を殴り飛ばされた事に和泉は苛立ちを顕にする。
だが大寿はそんな事は気にしていない。
「で……コイツ誰?」
「ハハ。知らねぇで殴ってたのかよ。さすがボス。ソイツは東卍の壱番隊隊長、花垣武道だ」
「ハハハ、コイツが東卍の隊長?オイ!ココ、そりゃ面白い冗談だ」
「本当だよ。若のツレらしい」
「ハハハ!そんなバカな!」
大笑いをする大寿は楽しげにそのまま、武道の顎を蹴り上げていた。
「じゃあ、八戒は我が家へのこのこと東卍の奴を連れてきたのか?いくら言っても黒龍に来ねぇのによう!!!」
「柴大寿!テメェッ!!」
青筋を浮かべた和泉が大寿へと拳を握り、駆け出そうとしたがその動きを止められた。
後ろから羽交い締めにされていて、『誰だ!?』と後ろを首だけで振り返れば青宗がいた。
青宗の表情は無表情。
だが和泉を羽交い締めにする腕は強く、和泉は抜け出そうと暴れた。
「離せ、青宗!!」
「乾、そのまま神澤和泉を抑えておけ。ソイツが暴れたら、オレでも抑えれるか分からねぇからな」
「了解、ボス」
「離せ!この……クソッタレ!!」
「はぁ……ハッカーイ。コイツ殴り殺せ。同じ東卍としてのケジメだ!」
大寿の言葉に空気が凍りつく。
冗談で言っている言葉では無いのは、誰もが分かっていた。
八戒の表情はだんだんと青ざめていき、和泉は目を見開かせて暴れる。
だが、青宗は膝が顔に入ろうが腹部を蹴り飛ばされようが離そうとしなかった。