The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
知り合いだけではなさそう。
見る感じそうだし、先程の九井の八戒への呼び方からしてただの知り合いでななさそうだ。
「八戒ぃ聞いてたろー?オレらぁ言うこと聞けねーってよぉ」
「女もやっちまうか!?」
「テメェら…」
黒龍はやっぱり腐りきっている。
事を起こしたくなかったがと思い、拳を握った瞬間だった。
八戒が一人の黒龍の隊員を拳で沈めていた。
「帰れよカス共」
「八戒……」
「巻き込んで悪かったな、タケミっち」
「え?」
「コイツら黒龍のボスは柴大寿」
「え?柴……って」
「そう、大寿はアタシらの兄貴」
「オレらは三兄弟なんだ」
やっぱりと心の中で呟いた。
苗字からなんとなく予想はしていたけれど、柴大寿は柚葉と八戒の兄だった。
でもまさか、八戒の兄が黒龍の総長。
このことは隆さんや佐野先輩は知っているのだろうかと、考えながらも眉を寄せる。
もし、知らなければ大事になる。
「兄貴はどこだ?」
「……コンビニ」
「ロクに帰ってきもしねぇくせに、こんな時だけ。ジャマくせぇ」
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ー三人称ー
八戒は苛立ちを見せるかのように呟いた。
その様子に姉の柚葉も苛立ちのような、なんとも言えない表情を浮かべている。
そんな2人を見ていた和泉は、眉を寄せながら顎をさすっていれば、一人の男がゆっくりと八戒に近付いた。
「オイ。調子乗ってんじゃねぇぞテメェ」
近寄ってきたのは青宗であり、その手にはナイフが握られていた。
鈍く光るナイフは八戒の首に当てられていて、ほんの少し動かせば切れてしまいそう。
「大寿(ボス)ナメてんならオレが殺す」
「穏やかじゃねぇなぁ」
「殺れねえと思ってんの?」
「あ…あ」
まさかの事態に武道は唖然としてしまう。
このままでは本当に八戒が殺されてしまうのではないかと思っていれば、和泉が動いた。
彼女はその白い手で鈍く光るナイフを手で握り、青宗を睨んでいる。
「青宗、辞めろ」
「和泉、邪魔すんじゃねぇ」
「辞めろって言ってんのが聞こえねぇのか。駄犬」
双方睨み合っている中、武道は困惑していた。
先程の九井と言い、和泉は何故黒龍のメンバーと面識があるのかと。
半間の時も驚いたが、和泉の交友関係が謎だった。