The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
ああ…今までの人間ではない。
その事に驚きながらも嬉しく思ってしまう所があって、俺は思わず頬をかいた。
「なんで家族とご飯食べないの?」
「家族と仲悪いのー?」
「あ、おいルナマナ…」
「…そう、だね」
仲悪いとかじゃない。
殆どの親族は俺が当主になるという以外には興味がないのと、両親はその親族と同じだ。
当主になるのとその勉強と男装を続けている…それ以外には興味がない。
俺は家ではそれだけの存在なのだから。
「和泉は、普段晩飯は何食ってんだ?」
「ファミレスとかファーストフードとかですね…。あとはレトルトとか缶詰とかコンビニにあるやつとか」
「不健康そのものじゃねぇか……」
「まぁ…そうですね。あとは幼馴染の家でたまに食事をするぐらいですね」
武道のお母さん…おばさんが『おいで』と言ってくれて、朝ごはんとかご馳走になっている。
だけどまず家に帰ることが殆どないせいで、花垣家には行くことが少ない。
「……じゃあ、また食べに来るか?」
「え?」
「これだけじゃ礼は足りねぇからな。また来て晩飯食っていけよ…な?」
「いや!それは申し訳ないです!!」
「そう言うなって!な?ルナマナ」
「うん!」
「おいでよ和泉お兄ちゃん!」
ルナマナちゃんが瞳を輝かせながら、そう俺に言ってくるし三ツ谷先輩は『来いよ』としか言わない。
その瞳に下心とかなくて…純粋に来て欲しいというだけのもの。
逆に純粋な瞳でそう誘われたどう対応すれば良いか困る!!
俺は頬に汗を流しながら、かなり困惑していれば三ツ谷先輩が苦笑を浮かべていた。
「強制はしない。ただ、和泉が来たいとかまた飯が食べたいと思ったら来いよ。オレやルナマナは歓迎するから。な?」
「………じゃあ、お言葉に甘えて」
「よし!」
なんか三ツ谷先輩って言葉巧みに操らない??
俺はそう思いながらも回鍋肉をまた口に含んでから咀嚼して、鶏ガラ卵スープを飲んでみた。
三ツ谷先輩の料理ってまた食べたいと思える。
そして暖かくて、何処かおばさんの事を思い出してしまうものだ。
(にしても…本当に美味しい。なんだろうな…暖かくて賑やかで……こんなの久しぶりで……)
じわりと目頭が熱くなる。
でも今ここで泣けるわけがなくて、グッと我慢をして涙を堪えた。