The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
ルナマナちゃんに連れられて、洗面所に向かうと手を丁寧に洗い終わりルナちゃんに渡されたタオルで手を拭く。
そしてリビング二向かうと三ツ谷先輩が、机に料理を置いている最中であった。
「お、おかえり」
「……美味しそう」
「美味しそうじゃなくて、お兄ちゃんの料理は美味しんだよ!!」
「ははっ、ありがとうな」
訂正されてしまい苦笑を浮かべていれば、三ツ谷先輩に座れよと促された。
そして机を見れば回鍋肉が置かれていて食べたことが無いので、普通に『美味しそう』しか思えない。
座ってみると、目の前にルナマナちゃんが座っており三ツ谷先輩は俺の右前。
そして目の前にコトン…とスープとご飯が置かれた。
「回鍋肉と鶏ガラ卵スープな。白米はおかわりできるから言ってくれな。んじゃ、いただきます」
「「いただきまーす!!」」
「…いただきます」
橋を手にして、取り皿に回鍋肉を取ってから口にする。
ピーマンの苦味と豚バラの甘い油にオイスターソースの味がゆっくりと口に広がった。
「美味しい……!」
「はは!口に合ったようでなによりだよ。幾らでも食べろよ、お礼と謝罪だから」
「ありがとうございます」
こんなに美味しい手料理は何時ぶりに食べただろうか。
家のお手伝いさんの料理も美味しいが、三ツ谷先輩の料理はそれを上回っている気がする。
人の手料理は本当に久しぶりだ。
家に居たくないという理由で、晩飯も朝食も家では食べる事がないから。
「本当に美味そうに食うな」
「え」
「そんな美味そうに食ってくれたら、作ったかいがあるってもんだな」
「三ツ谷先輩の料理本当に美味しいのと、こうやって誰かの手料理食べるの久しぶりなので」
ファミレスの料理も手料理…と呼べると思うが、こういうファミレス以外の人の手料理は久しぶりなのだ。
それとこうやって修二以外の人間と食べるのも久しぶりである。
「誰かの手料理を久しぶりに食べるって、家で晩飯食わないのか?」
「食べません。お手伝いさんが作ってるくれてるけど、家に居たくないというか諸々の事情で家に帰らなくて」
「お、お手伝いさん?」
「お兄ちゃんのお家、お金持ちなの?」
ルナちゃんが首をコテンと倒しながらそう聞いてくる。
でも周りの今まで会ってきた人間達とは違って『お金持ち』という言葉に目を輝かせていない。