The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
ー和泉sideー
武道は歯切れの悪く呟きながら、チラリと八戒の方を見る。
悩んでいるような警戒しているような、そんな瞳に眉を寄せた。
「八戒がどうかしたのか?」
「…帰ったら、12年後どうなってたのか話す」
「ん」
武道の様子からして、12年後はいい未来ではなかったのだろう。
もしかしたら最悪な事になっているかもしれないし、八戒を見ているということは、アイツが何か関係してるのかもしれない。
私は生きていたのだろうか。
橘は生きていたのだろうか…佐野先輩はどうなっていたのか。
色々気になる事はある。
「あのー。弐番隊の副隊長って事は隊長の三ツ谷君と仲良いんですか?」
「腐れ縁だよ…ってかさぁ。“タメ”なんだから敬語やめろよ」
「へ?」
「八戒、お前と俺と同い年だよ」
「え!?その見た目で!?オレと和泉とタメ!?」
「ハハ、ひでぇな」
八戒は図体がデカイ。
見た目からして高校生ぐらいだけど、それでも私と武道とは同い年である。
私も最初見た時は同い年とは思えなかった。
「八戒にとって三ツ谷は“兄貴分”だ」
「タカちゃんはさ、目の上のタンコブだよ。不良のカッコ良さもカッコ悪さも叩き込まれた。ウッセェだろ?あの人……本当の兄貴みてぇな人だ」
「へぇ」
八戒が隆さんを尊敬しているのは、言われなくても分かる。
尊敬している眼差しを向けているし、いつも私に隆さんがどれだけカッコイイのかを話してきたりもする。
すると話を聞いていた柚葉が、何処か呆れたようにため息を吐き出す。
「コイツの“三ツ谷愛”は異常だ。見ろ、コイツの携帯」
「柚葉、テメっいつの間に!?」
素早く柚葉は八戒の尻ポケットに入っていた携帯を取り出し、携帯の画面を見せつけてくる。
「待ち受けが三ツ谷だ」
「あー…」
「ちなみにアタシのは八戒なのにっ」
「…はは」
八戒はやたらと私に隆さんの写真を送ってくる。
あれがかっこよかったから、これがカッコイイからと色んな写真を何枚も何枚も。
お陰で写真フォルダに私が撮っていない隆さんの写真が増えてきている。
これは隆さんには見せられないけど。
「なぁ、和泉」
「ん?」
「日向ちゃんってさ、アンタが女なの知ってんの?」