The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
何かを企んでいるはず。
何の目的で東卍の傘下に降ったのかと警戒している時、グイッと突如腕を引かれた。
左腕を引っ張られたようで、バランスが左へと傾いてしまったが倒れることは無かった。
誰が腕を引っ張ったんだ…と若干のイラつきを感じながら、顔を左へと向ければ、佐野先輩がいた。
傍には不機嫌そうな龍宮寺先輩と隆さんもいる。
「あんまイズミっちに近づくなよ」
「マイキーに関係あんの?オレと和泉は幼馴染なんだぜ?ていうか、そんなピリピリすんなよぉ。せっかく仲間同士になったんだし」
「何が仲間同士だ」
龍宮寺先輩がイラついたように舌打ちをする。
周りの隊員も何処と無く、修二に警戒しているような様子だ。
当たり前か…。
傘下に降ったとしても元は敵対関係なのだから、早々に打ち解けるはずがない。
「ま、これからよろしくな。東卍♡」
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ー三人称ー
大荒れした集会が終了し、隊員も帰り出して武蔵神社に残っている人数も減りだした具合の頃。
武道は辺りをキョロキョロしながらも、三ツ谷と八戒と会話をしている和泉を見つけてそちらへと足を向ける。
そろそろ未来に帰る。
それを伝えたくて、和泉の元に向かえば、彼女はこちらに来る武道の存在に気がついたらしい。
こちらへと振り返り三ツ谷達に声をかけてから、こちらへと歩いてくる。
「武道。もしかして、未来に帰るのか?」
「え?あ、よく分かったな…」
「一旦帰るんじゃないかなと思ってね。芭流覇羅が東卍の傘下に降ったけど、最悪な事態ではあるかもしれないけれど…オマエが壱番隊の隊長になった。俺は補佐になった…総長のね」
「ああ」
「俺が佐野先輩を何とかしてみせる。もし堕ちていきそうになったら、止めてみせる。だから、安心して未来に帰りな」
穏やかに微笑む姿に武道は泣きそうになってしまう。
ずっと和泉は協力してくれたのに、結局場地は死んでしまった。
辛いことを経験させてしまったけれど、こんなにも気遣ってくれる。
「ごめんな、和泉。場地君のこと…」
「だから、気にするなって。…未来で、会おうな」
「おう!じゃあ、明日の朝帰るよ」
「ん。またな」
12年後、どうなるかは分からない。
だが、過去を変えることが出来たのは確かである。