The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
ー翌朝ー
和泉はメールの受信音で目が覚めた。
寝起きが悪い彼女は、朝早くに目が覚めることになった事に対してイラつきを覚えながらも携帯を開いて、メールの内容を確認してから小さく笑う。
『12年後、お前に会えるの楽しみだ』
武道からのメールである。
それを見た和泉は寝返りを打ちながら、小さく呟いた。
「私もだよ…武道」
一方武道はというと、朝早くから橘家へと向かっていた。
もちろん目的は直人と握手をする為であり、未来に帰るためでもある。
(事態は悪化し続けている…だけど)
『オマエを壱番隊隊長に命じる!!』
『神澤和泉を総長補佐に命じる!!』
希望はまだあると武道は確かに思っている。
そして、武道は橘家の前へとたどり着いてインターホンを鳴らした。
東卍を…マイキー君を救いたかった…
場地君のおかげでマイキー君は一虎君を殺さなかった
和泉が意識不明の重体になるのも防げた
マイキー君の闇堕ちは防げたはず…
なのに…稀咲に加えて
半間まで東卍に入った
これじゃあ遅かれ早かれ
東卍は稀咲に乗っ取られちまう
でもまだ
やれる事なあるはず!!
ーーーーーーーーーー
「今頃、武道は12年後の未来に帰ってるはずだよな」
和泉はそう呟きながら、とある場所へと向かっていた。
線香の匂いと少しだけの花の匂いに包まれた場所…そう、墓地に来ていたのだ。
ゆっくりとした足取りで向かった先には『神澤家ノ墓』と書かれた墓石。
和泉は叔母と従姉妹に、女として生きれることになった事や恋人が出来たことを報告しに来ていたのだが…。
「ん…?」
墓石の所に既に真新しい花がそなえられている。
しかも線香も火がつけられたばかりのようで、和泉は辺りを見渡した。
「誰か…来てたのか?」
ふと、墓地の出入口へと視線を向けた時だった。
そこには白髪の髪の毛に、褐色の肌をした男性の後ろ姿があった。
そんな彼を見た瞬間和泉は駆け出したが、追いつくことなく彼の姿は消えていた。
「…まさか、まさかね……」
もしかしたら、来ていたのかもしれない。
絶縁状態になってしまった、彼が…。