The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
私と武道は唖然とした表情で立っていた。
だってまさか、武道が壱番隊隊長に命じられて私は壱番隊の隊長と副隊長の補佐に命じられるなんて思っていなかったから。
「花垣武道、神澤和泉!!!顔上げて、みんなに挨拶しろ!!」
ああ、だけどこれで未来を変えられるかもしれない。
私と武道が幹部になったということは、佐野先輩を稀咲から守れるかもしれないのだ。
けーすけくんが言っていた、佐野先輩を頼むって。
私は傍で佐野先輩を守ることが出来るかもしれない……そう思うとじわりと目元に熱が集まる。
だけど横を見た瞬間、涙がほんの少し引っ込む……だって武道が号泣しているから。
「よろしくお願いしますしますっ!!!」
「よろしくお願いします!!!」
「オイオイ、タケミっちは何泣いてんだよ。締まんねーな」
「あーあ。また刺繍入れ直しだよ」
「……顔、上げすぎだ……バカ」
けーすけくんに託された事、武道が叶えたがっている未来。
その為に頑張らなければ……。
「ケンチン。お前からも話があるんだろ」
「おー」
佐野先輩の言葉に龍宮寺先輩はニヤリと笑うと歩き始めた。
副総長から話があるということで、また辺りはザワつきはじめていて、何があるんだろうかと龍宮寺先輩を見れば目が合った。
「神澤和泉!オマエを総長補佐に命じる!!」
「……はあ!?」
「宜しくね、イズミっち♡」
「ちょ、ちょっと待ってください!俺が総長補佐!?」
さっき壱番隊の補佐を命じられたというのに、次は総長補佐。
周りとザワついているが、龍宮寺先輩と佐野先輩は嬉しげに微笑んでいるだけ。
だが隣にいる武道は驚いているようで、目が落ちそうなぐらい目開いている。
「なんで……」
「イズミっち、オマエはマイキーのストッパーになると思ってる。だから、総長が暴走しそうになったらストッパーとして止めてくれ。オマエになら出来る」
「ストッパー……」
「頼むぜ、イズミっち」
驚いたり困惑したけれど、これで良かったのかもしれない。
佐野先輩の補佐に着いたということは、稀咲の自由にさせることが出来ないはず。
佐野先輩が闇に堕ちていくことを止めれる可能性が大きくなった。
「……よろしくお願いします」
最良の選択かもしれない。