The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
顔真っ赤にして、怒鳴るように言った私に林先輩は驚いた表情を浮かべている。
その隣で隆さんは楽しそうに笑っているものだから、やっぱりあの人は意地悪いと思う。
少しだけの憤りを感じながらも、隣の教室に戻ろうとした時であった。
後ろから肩をやんわりと掴まれて耳元で囁かれる。
「ごめな、和泉」
パッと後ろを振り返れば、ニヤついた隆さんの顔。
その顔が腹立たしくて、背中を向けると無視して隣の教室へと入った。
「なんであの人、あんなに意地が悪いわけ……!?」
優しいと思えば意地の悪い。
絶対に人の反応を見て楽しんでいるなと思いながら、特攻服から元の制服へと着替えていく。
その途中の事、学校中に帰りのチャイムが鳴り響き始めた。
部活動の終了のお知らせでもある為か、隣の家庭科室からはぞろぞろと女子生徒が帰っていき始めるのが見えた。
ということは、隆さんも帰るだろうと思いながら制服に腕を通してから外に出た。
「今日は、隆さんの家に行こうかな……」
ここ2日間、隆さんの家に行けていない。
神澤家の古臭い暗黙のルールを変えていたり、親族と話し合いをしたりとしていて、なかなか隆さんの家にお邪魔出来ていなかった。
そのせいか、彼の料理が恋しく感じる。
そう思いながら廊下を歩いていた時、武道が何故か家庭科室の前の廊下で身を潜めるようにしながら中の様子を伺っているのが見えた。
「武道?何してんだ、お前」
「和泉……!?え、いや……その……」
「ん?」
教室の中を覗けば、中には隆さんと1人の女子生徒がいた。
あとの生徒たちは出払っているようでいなくて、2人っきりであるその光景に胸がザワつく。
そして思わず私も身を潜めてしまった。
「あの、三ツ谷部長!私、ずっと部長に伝えたいことがあって!」
「ん?」
この感じ、知っている。
私も体験したことがある……そう思いながら眉を寄せていれば、隣にいる武道がハラハラした顔をしながら、私と教室の方へと視線を彷徨わせていた。
「私、部長の事がずっと前から好きでした!」
やっぱりだ。
告白の現場である。
私も何度か男装をしているせいなのか、告白をされたことがある。
だから、何となく雰囲気が分かってしまった。
「あ、あー……」