The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「できた!!着てみろよ、タケミっち、和泉」
「ハイ!!」
「明日の集会が楽しみだな!」
手渡された特攻服には、東京卍會という文字や『卍』という文字が刺繍されていた。
まさか、特攻服を身につけることになるなんて思ってもいなかったのでかなり驚いてしまう。
だが、同時に嬉しかった。
一時期、私はこの特攻服に憧れていた時期があったから。
黒く靡く特攻服、ギラギラとした眼差し、好戦的な笑みを浮かべた憧れて尊敬していた人たち。
「和泉。隣の部屋、空いてるから着替えてこいよ」
「あ、はい」
「サイズ、もし合わなかったら言ってくれ。調整するから」
隆さんに案内されて、隣の教室に入ってから、制服を脱いで初めての特攻服に身を包んだ。
鏡がないから、全身どうなっているか分からないが身が引き締まる気分である。
特攻服は大事だ……という言葉を思い出した。
真一郎君の初代黒龍の集会に無理言って参加させて貰った時、これを着ていた黒龍のメンバーが本当にかっこよく見えた。
「まさか、自分も着るなんて思わなかったな……」
取り敢えず、サイズは大丈夫そうだった。
でも私、隆さんに服のサイズ教えたことあったけ?と思いながらも家庭科室へと戻ると、既に特攻服に着替えていた武道がいた。
「和泉、似合ってる!」
「武道も似合ってるじゃん。悪くない」
「2人ともよく似合ってんな。サイズは悪くなさそうだな」
隆さんは私と武道の姿を見て、満足に深く頷いた。
「キツイ所とかねぇか?」
「大丈夫そうです。でも、よく俺と武道のサイズが分かりましたね」
「なんとなくだけど分かるんだよ。それに、和泉に関しては、全身見たしな」
隆さんは最後の言葉だけ、私の耳元で囁いた。
熱い息が耳に吹きかかり、その熱さと言葉で初めて隆さんに抱かれたあの日を思い出して顔が赤くなっていくのが分かる。
「なっ!?何を言って!?」
「似合ってるぜ、和泉」
思わず手を振りかざしたけれど、ゆらりと交わされてしまった。
人がいるところでなんてことを言うんだと思いながら、眉を寄せていれば、武道と林先輩は不思議そうな表情を浮かべている。
「イズミっち、顔が赤けぇけど、大丈夫か?」
「大丈夫です!サイズも問題なさそうなので着替えてきます!!」