The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
ー和泉sideー
隆さんの言う通りだ。
場所なんて関係なくて、キス自体が未だに恥ずかしい。
慣れていないのだから許してほしいものだと思いながら、彼から視線を逸らす。
「慣れるようにする?キス」
「む、無理です……!」
「はは!冗談、冗談」
やっぱり隆さんって意地が悪い気がする。
そう思いながら離れ難いと思っている時であった。
「和泉……?」
今、一番聞きたくない声がした。
眉を寄せながら振り返れば、そこには父さんと母さんの姿があった。
その隣にな祐介おじさんもいたが、まさか女の格好をしている時に遭遇するなんて……。
「和泉!どうしたんだ、その格好!とても似合ってるぞ!」
「ありがとう、祐介おじさん。隆さん……三ツ谷先輩が選んでくれたの」
「お久しぶりです、祐介さん」
「やあ、三ツ谷くん。君、センスがいいんだねぇ」
まだ祐介おじさんがいて助かったかもしれない。
そう思いながらチラリと両親を見たが、2人は嫌そうな顔はしていなかった。
その表情におや?と思いながら眉を寄せていれば、父さんが隆さんの方へと視線を向けているのに気が付く。
「君は、あの時もいたな……」
どうしようかと少し焦る。
隆さんをどう紹介しようかと、恋人ですと言うべきなんだろうけど、もしそう紹介した時に両親はどう反応するのかと焦ってしまう。
取り敢えず、自己紹介しようかと口を開いた時だ。
「初めまして、三ツ谷隆と言います。和泉さんとはお付き合いをさせてもらっています」
私が紹介する前に、隆さんが自ら名乗った。
その事に驚いていれば、父さんと母さんも驚いた表情を浮かべている。
「あの時、名乗らずにすみませんでした」
「そうか、君が……和泉があの時、隣に立ちたいと言っていた……」
父さんはそれだけ呟くと黙ってしまった。
それから数秒という時間が経ってから、父さんはゆっくりと口を開く。
「もう、暗くなる。早く帰りなさい。和泉、その姿のままでもいい。食事には参加するように」
「え、あ…はい」
何か、言われるかと思ったのに……と私は唖然としていた。
嫌味でも言われるんじゃないかと内心覚悟していたのだが、父さんはそれだけ言うと家の中へと入っていってしまう。
そして母さんも入っていく。