The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
だが、三ツ谷はニヤリと笑うだけ。
そして何も言わずに手を繋いだまま歩き出し、和泉はあわあわとしながらも歩き出す。
「折角のデートなんだし、手ぐらい繋ぎてぇだろ?」
「え、あ……え!」
「ははは!和泉、顔真っ赤だな!」
「誰のせいだと思ってるんですか!」
「オレのせいだな!」
そう言いながら反省する素振りも、手を離す素振りもない三ツ谷に和泉は眉を寄せながらも微笑んでいた。
この時はたたただ、幸せだった。
どうか、12年後もこのまま一緒に居られたらいいのに。
そう願いながら和泉は三ツ谷の手を握り返すのだった。
ーーーーーー
「良いもの買えて良かったな」
「はい」
和泉の手には紙袋が握られていた。
デパートのアクセサリーショップで目にした、淡いピンクの花模様があしらわれているバレッタが気に入り、エマに似合いそうと思い購入していた。
あとはこれをエマに渡すだけなのだが……。
「いつ渡そう……」
「……今から私に行くか?」
「え!?い、いいんですか?その……デートなのに」
「オレは和泉と一緒にいられたら、それだけでデートなんだよ。エマちゃんに連絡してみたら?今、家にいるかどうか聞いてみろよ」
「あ、ありがとうございます。じゃあ……ちょっと連絡してみますね」
和泉は慌てて携帯を取り出してから、電話をしてみた。
誕生日だから何処かに出掛けているかもしれないと思っていれば、直ぐに電話の呼出音が途切れる。
『もしもし?どうしたの、和泉』
「あ、エマ?その、今どこにいる?ちょっと会いたいんだけど」
『今ね、ウチは○○ってお店にいるよ!ちょうどマイキーもいるの!』
「○○って店なら……今のところから近いっか。じゃあ、そこに行くから待っててくれる?」
『いいよ!待ってるね!』
電話を切ってから、三ツ谷と共に和泉はエマ達がいるという店へと向かった。
彼女たちがいるのは渋谷のカフェであり、最近人気でもある場所だ。
「その店って確か、パンケーキで有名な場所だよな。マイキーといるってことは、マイキーの奴、女の子が沢山いる店でパンケーキ食ってんのか」
「そういえば、佐野先輩って甘いの好きですよね」