The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
その言葉に『ああ…』と曖昧な言葉を漏らす。
確かに男装はしなくても良いが、慣れというか男装するのが当たり前となっていたから今日も男装していた。
「まぁ、そうだけど」
「それじゃあ、女の格好はしないの?」
「女物の服、持ってないんだよ。10年以上男装してるもんだからさ」
「じゃあ、今から女物の服買いに行かない?アタシも服買いたくて渋谷に来てたからさ!」
「「「え」」」
柚葉の提案に、私と隆さんと八戒の声が重なる。
すると彼女は『善は急げ』と言ってから立ち上がり、私の腕を掴んで立たせてきた。
「よし!服屋行こう!」
「ちょ、待てよ柚葉!急に!?」
「なに、三ツ谷。アンタは女の姿してる可愛い彼女が見たくないわけ?」
「それは見たい」
「じゃあ行こう」
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ー三人称ー
正直言えば、三ツ谷は和泉に女物の服を着せるなら自分が作った服が最初が良かったと思っていた。
その為デザインや色んなものを考えていたけれど…と思いながら、ワンピースを吟味している柚葉へと視線を向ける。
隣にいる和泉は眉を寄せながらも、ワンピースを見たり、女物の靴を見ていたりとしていた。
女物の服を選ぶのは初めてだと言っていたので、どうすればいいのか分からないのだろう。
「なにか、いいのあったか?」
「いえ…どれが良いのかさっぱり」
「和泉ならどれでも似合いそうだけどな。このエンパイアのワンピースとかも似合いそう」
「あ、いいじゃん!三ツ谷センスあんね」
三ツ谷が選んだのは薄紫色のエンパイアのワンピース。
フリルが沢山あるわけじゃないけれど、シンプルで綺麗な形のワンピース。
袖はふわりと少なめのフリルがあり、ウエストには飾りのリボンが着いている。
「和泉、ちょっとこれ着てみなよ!絶対似合う」
「え、あ…うん。じゃあ、着てみる」
戸惑った様子を見せながらも和泉はワンピースを手に取ってから試着室へと入っていく。
そんな彼女を見送りながら、三ツ谷はどんな姿で出てくるだろうかと楽しみにしながら店の柱に背中を預けた。
「タカちゃん、ニヤついてる」
「そりゃ、ニヤつくだろう。彼女がどんな可愛い姿で出てくるのか楽しみなんだからよ」
「そういうもんなの?オレはちょっと今心配になってる」