The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
中学生3年、1つ年上かと考えてから三ツ谷さん……いや三ツ谷先輩の瞳を見る。
シルバーパープルの瞳は何処か宝石の様に綺麗であり、陰りが見えない。
(綺麗な瞳だな…)
呑気にそう思っていれば、三ツ谷先輩は不思議そうな表情をしている。
そして俺は少し息を吐いてから口を開いた。
「三ツ谷先輩、と呼ばしてもらいます」
「お、お堅いな……本当に」
口元を引き攣らせる三ツ谷先輩から視線を外して、失礼ながらグルッと家の中を見させてもらう。
アパートに畳のリビングはウチと同じで、でも変なお香の匂いとかはしない落ち着く空間。
「ボロい家だろ?悪ぃな、こんな家に上げちまって」
「いえ…味があるというか、俺は落ち着く空間だと思いますけど」
「はは!ありがとな。所で和泉は、東卍入るのか?」
「幼馴染…もう1人の花垣武道が入るなら、入るますよ」
だけど恐らく東卍には入るだろう。
すると三ツ谷先輩は机に肘を付けて、顎を支えるようにしながら『ふーん』と話を聞いていた。
「幼馴染、大切にしてんだな」
「え?」
「マイキーがな、幼馴染を守る為に命張る奴なんだって言ってたんだよ。それ聞いて幼馴染がよっぽど大切なんだなって思ってな」
「大切ですよ」
「でも、幼馴染の為に命を張ろうとする奴なんてなかなかいねぇよ。お前、カッコイイ男だな」
褒められた事に何故か心がじんわりと暖かくなる。
不思議な感覚に思わず胸に手を当てて首を傾げてみるが、心の暖かさの理由は分からない。
すると三ツ谷先輩はゆっくりと立ち上がり、台所へと歩き出した。
何をするのだろうと見てれいば素早くエプロンを付けて、俺の方へと振り返る。
「礼と謝罪を込めてさ、晩飯ご馳走させてくれよ」
「え!?いや、そんな…」
「妹助けてくれた礼と、誤解で胸ぐら掴んだ詫びしないとかただのクズだからな。嫌いな食べ物とかあるか?」
「いや、え…ない、ですけど……」
「んじゃ、昨日安くて買いすぎたピーマン使うか」
なんて言いながら野菜室から袋に入ったピーマンを取り出す。
しかも2袋も取り出すのでピーマン嫌いな人間が見たら、卒倒したくなりそうだなと思った。
「お兄ちゃん!!ピーマン嫌い!!」
「ピーマン食べない!!」
「我儘言うな。好き嫌い無くさねぇと、将来困るぞ」