The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
「そうはいかねぇよ。ていうかまず自己紹介だな…オレは三ツ谷隆。よろしくな?」
そう満面の笑みを浮かべながら自己紹介した彼は、手を俺へと差し出した。
握手なのだろうか…と思いながら彼の笑顔に何処か理由は分からないが安堵してしまうのが不思議だ。
俺はその手をおずおずと握ってから自己紹介をする。
「神澤和泉です…」
「……神澤、和泉」
すると三ツ谷さんは目を見開かせて、驚いた表情を浮かべており俺は首を傾げた。
どうしたのだろうか…と少しだけ心配していれば、次には明るい笑みを浮かべている。
「お前、イズミっちか!?」
「…なんで、その渾名を……」
「やっぱりか…。実はオレ、東卍の弐番隊隊長してんだよ。んで昨日マイキー達に東卍に入れたい奴らがいるって、アンタの名前聞いてたんだよ」
「東卍の……」
まさかの目の前にいる人物が東卍の隊長とは…。
俺はその事に驚きながら、三ツ谷さんを見ていれば彼も驚いたような表情だった。
三ツ谷さんも驚くだろう。
名前を聞いていた人間が目の前にいるのだから…と思っていれば三ツ谷さんは何故か嬉しそうに笑っていた。
「まさかこうして会えるなんてな…。鳴海さんのイトコなんだろ?オレあの人にお世話になってるし、数回アンタの事聞いてたんだ」
「鳴海ねぇから…」
「偶然にしても、あのイズミっちに妹助けてもらったとはな…」
「あの…三ツ谷さん。その渾名で呼ぶの辞めてもらえる事って出来ますか?ちょっとその渾名は…」
嫌である。
だって変な渾名だし、勝手に付けられた渾名であって俺はその渾名気に入ってはいない。
「ああ…分かった。じゃあ和泉」
「突然の呼び捨てですか」
「ん?嫌だったか?」
コテンと首を倒すと彼と短いシルバーパープルの髪の毛が揺れて、薄紫というよりも髪の毛と同じ色に近いシルバーパープルの瞳が細められた。
そして彼の言葉は『嫌』とは言わせないような…そんな狡い言い方である。
なので俺は深く溜息をつく。
「良いですよ…それで。三ツ谷さんの好きに呼んでください……」
「なんか『さん』呼びってお堅いな…『さん』付けで呼ばなくいて良いぞ?」
「……三ツ谷さんって中学生ですか?」
「ん?中学生3年生だけど、それがどうした?」