The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
ー数日後ー
「お願いしますけど、父さんに喧嘩売ったりするのは辞めてくださいね。佐野先輩、龍宮寺先輩」
「わかってるって、イズミっち。喧嘩は売らない」
「心配になってきた…」
あれから数日後。
作戦の日となり、俺…じゃない、私は隆さんと武道と佐野先輩に龍宮寺先輩…そして、祐介おじさんと由香おばさんを連れて神澤本家へと向かっていた。
この作戦には分家であるおじさん達の助けも必要になるから。
「祐介おじさんも必要以上に喧嘩売ったりするのは駄目だから」
「わかってるわかってる」
「本当にわかってるのかよ…」
「ま、まぁまぁ和泉。取り敢えずさ、オレらって黙って見てればいいんだよな?証人?になれば良いって言われたけど」
武道の言葉に、小さく頷く。
作戦は主に私が実行するから、武道達はただ見ているだけの証人となってくれればいいのだ。
「任せろ、和泉。殴って警察沙汰になる覚悟は出来てるからな」
「お願いだから辞めて、祐介おじさん」
祐介おじさんの言葉に胃がピリピリと痛み出した時だった。
肩をトントンと叩かれて振り返れば、少しだけ不安そうな表情の隆さんが私を真っ直ぐに見ている。
「本当に何もしなくて大丈夫だな?もしの事があれば、オレらはいつでもお前の両親とやり合う覚悟は出来てる」
「大丈夫です。ありがとうございます…隆さん」
「ん」
そうして、私達は神澤家の前へと来た。
自分の生家なのに、今日はだけは変に緊張してしまう。
ゆっくりと息を吸いながらも、ガラッと玄関の扉を開ければ、中にはお手伝いさんが数名いた。
彼女たちに頼んで、広間に父さんと母さんを呼んでもらう。
幸いなのか、面倒臭い親族たちは出払っていた。
まだ父さんと母さんだけなら、なんとかなると思いながら広間で二人が来るのを待つ。
緊張する。
焦りも出てくると思っていれば、隣に隆さんが座っていた。
そして私の方を見ると優しい笑顔を浮かべてくれて、それだけで気持ちが落ち着いた…そう思った時だった。
「祐介と由香がいるのは分かるが…なぜ、武道と知らない男が三人いるんだ」
低い重圧のこもった声が聞こえてきた。
ゆっくりと視線を向ければ、相変わらずの感情が見えない瞳をした父さんが立っている。
その隣には母さんもいた。