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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第4章 血のハロウィン


そして隆さんは汗で張り付いた私の前髪に触れる。

「気持ちよかった?体は大丈夫か?」
「はい…」
「辛くは?」
「ないですよ…気持ちよかったです」

そう言いながら小さく微笑めば、隆さんは嬉しげにしていた。

「私、知りませんでした…。大好きな人にキスされるのがこんなに幸せで、大好きな人に抱かれるのも幸せだなんて…」
「和泉…。そんな可愛いこと言わねぇほうがいいぞ。襲っちまいそうだから」
「隆さんならいいですよ」
「だから…本当に大事にしてぇから、そんなこと言うんじゃねぇよ」

ピシッと隆さんは私の額を指で弾く。
全然痛くないそれに、私は微笑みながらも近くにあった毛布を手探りで手繰り寄せた。
あんなことをした後だけど、裸を曝け出すのは恥ずかしい。

「恥ずかしいのか?」
「恥ずかしいですよ…」
「あんなことしたのに?」
「しましたけど…羞恥心てのがあるんです」

毛布を口元まで手繰り寄せていれば、隆さんは可笑しそうに笑っていた。

この優しい笑顔が私は好きだ。
この笑顔を浮かべるこの人の隣で、私はありのままの自分で立っていたい。
だから…。

「隆さん」
「ん?」
「私、本家の人間と話します。両親達と…話し合いでなんとかなると思ってないから作戦をたてたんですけど」
「作戦?」
「私が、女でいてもいいと言わせるための作戦です」

ニヤリと笑えば、隆さんは数回瞬きをした。
そして次には真剣な表情になってから、起き上がるので私も釣られて毛布を抱き寄せながらも起き上がる。

「オレも、協力する」
「え!?」
「大事な恋人が頑張ろうとしてるんだ。協力するのは当たり前だろ?それにタケミっちも協力しそうだし」
「いや、でも!これは私の問題ですから…」

隆さんや武道を巻き込むのは無理だ。
そう思っているのに、彼は首を横に振るだけ。

「協力は絶対にするからな。仲間は何人かいるだろう?マイキーとドラケンも巻き込もうぜ」
「いやいや!佐野先輩と龍宮寺先輩まで巻き込めませんって!」
「アイツらなら喜んで協力すると思うよ。マイキーは尚更。だって和泉の事、大事な妹だって言ってるしな。よし!和泉、その作戦聞かせてくれ」

結局、私は隆さんを説得できずに、私が説得された形で考えていた作戦を話すことになったのであった。
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