The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
ー1週間後ー
場地圭介が死亡して、血のハロウィンと呼ばれる抗争が終わった1週間後。
大切な仲間の死から東京卍會メンバーはなんとか乗り切った者もいれば、忘れる事ができない者もいた。
そんな日、和泉は携帯を耳に当てながらアスファルトの道を歩いていた。
携帯からは携帯に着信をかけている音が聞こえてくるが、一向に出る様子は無い。
「……やっぱり出ないな。千冬」
和泉が電話をかけていた相手は千冬。
場地の葬式後から音沙汰も無く、武道の方にも連絡が無いらしい。
「…………そうだよな。乗り切れないよな」
ボソッと呟いてから和泉はゆっくりとした足取りで歩いていき、三ツ谷の家に到着した。
いつも通りにインターホンを鳴らせば直ぐに足音が聞こえてきてから扉が開く。
「よ、いっらしゃい」
「お邪魔します、三ツ谷先輩」
「寒かった?頬と鼻赤くなってんじゃん。直ぐにココア入れるな」
「ありがとうございます」
相変わらずの優しい笑みを浮かべる三ツ谷は、和泉の頬に優しく触れてから家の中に招き入れた。
家の中に入った和泉は、周りを見渡しせばルナマナの姿が無いことに気がつく。
何時もなら走って来て飛び付いてくる2人の少女が居ないことに首を傾げていれば、三ツ谷はその後ろ姿を見てクスリと笑った。
「ルナマナなら友達んトコ」
「あ、そうなんですね」
「居た方が良かった?…オレは2人っきりの方が良かったけどな」
「だから…狡いんですよ、三ツ谷先輩は……」
「ははっ!ごめんな?」
絶対思ってないなと拗ねたような顔をする和泉に、三ツ谷は苦笑を浮かべた。
拗ねさせてしまったな…と思いながら、彼女の頬に触れながらチュッ……と触れるだけのキスを落とす。
「ごめん、機嫌直して?」
「別に怒ってませんから」
「拗ねてんのに?」
「三ツ谷先輩…」
「ごめん。もう言わねぇから」
完全に拗ねてしまったら大変なので、三ツ谷は揶揄うのはここまでにしておいた。
そして宥めながらもココアを渡したりしてご機嫌取りをしながらも、三ツ谷は和泉の横顔を眺める。
「なんですか…?」
「それ飲み終わったら、ちょっと部屋来てもらってもいい?」
「別に…構いませんけど…?」
「ありがとうな」