The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
ー三人称ー
場地の葬式が終わり、来ていた東卍メンバーはその場で解散となり和泉は武道と共に帰宅する事にした。
その際手首には場地からのチャームブレスレットが揺れていて、時折彼女はそれに触れたとして涙で赤くなった目を細める。
「場地君、和泉の事すげぇ大事に思ってたんだなぁ」
「え?」
「亡くなる間際でも和泉の事心配してたし、すげぇ心が籠ったプレゼントも用意してたし。仲、良かったんだね」
「……うん」
大事そうにチャームブレスレットに触れる和泉を見ながら、武道は眉を下げてから唇を噛み締めた。
チラッとエマから話を聞いていたが、2人はかなり仲の良い幼馴染だったと。
それはあの和泉の泣きようで察していた。
ある事がきっかけであまり泣くことが無くなってしまった和泉があれだけ泣いていたのだから…。
(オレは…和泉やマイキー君達の大切な人を救えなかったんだ……)
悔しさで唇を噛み締めていた武道の指に、和泉が小指を絡めた。
その温度に驚いた武道は目を見開く。
「自分を追い詰めるなよ」
「っ……」
「武道、最後までけーすけくんを救おうとしてくれてありがとう。本当にありがとう」
「でもオレっ…」
「誰も武道を責めたりしないよ。お前は最後まで必死に頑張ったんだから」
言い聞かせるように優しい声で話す彼女に武道はじわりと目元に涙を浮かべた。
その言葉だけでどれだけ武道の心は救われるのだろうか…。
「俺は……変わらなきゃな」
「変わる?」
「武道、俺決めた」
そうやって笑う彼女の目には悲しみなんてなかった。
まるで何かを企んでいる悪ガキのような目をしており、武道は思わず首を傾げる。
何を決めたのだろうか。
そう思っていれば、和泉は手首に付けていたチャームブレスレットに触れる。
大事そうにそしてまるで何かに誓うように。
「家に反抗する」
「反抗……え!?」
「けーすけくんと約束したんだ。自分を偽らずに生きるって……。それになんとか説得すれば、秋にぃの事も許してくれるはず」
「和泉〜〜っ」
「何で泣いてんだよ…」
家に反抗する、自分を偽らずに生きる。
それはつまりずっと家の掟に縛られずに、女として生きるという意味でもあった。