The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
涼子さんは優しく笑いながら目元を優しく撫でた。
その表情がけーすけくんそっくりで、じわりと涙が浮かんで溢れそうになる。
すると涼子さんは困ったように笑いながら浮かぶ涙を拭ってくれた。
「和泉、アンタに渡したいのがあんのよ」
「渡したいの…?」
「圭介の机の上にあってね…アンタにあげるみたいだったから、渡しておこうと思って」
「けーすけくんが……?」
そう言って涼子さんは俺の前に差し出したのは、赤のリボンでラッピングされた白い小さな箱。
リボンには『Happybirthday』と書かれたバースデーカードが付けられていた。
これを俺に?と思っていれば、涼子さんは『これが傍に置いていったのよ』と言いながら手紙を渡してくれた。
歪な字で書かれた『和泉へ』という文字と、後ろには『けーすけより』とある。
「手紙…」
「唸りながら書いてたよ。あとその箱の中身もね、すっごい悩みながら」
「……けーすけくん」
「ありがとうね、和泉。あの子が息を引き取る前まで一緒にいてくれて、こうして葬式にも来てくれて。ありがとう…圭介も喜んでるよ」
「喜んで…るかなぁ……」
ボロボロと涙が落ちていく。
何も出来ずに死なせてしまったのに、けーすけくんは喜んでいるのだろうか。
そう思いながら葬式が終わるまでずっと泣いてしまった…けーすけくんからの手紙とプレゼントの箱を持ちながら。
葬式が終わった後、俺は会場から出ると敷地内にあるベンチに座った。
そして手元にある手紙とプレゼントの箱を眺めていれば、複数の足音が聞こえてくる。
「イズミっち」
「佐野先輩……。三ツ谷先輩と龍宮寺先輩と武道…千冬も……」
「涼子さんと話してたから、何かあったのかなって思ってさ」
「……けーすけくんが、俺にこれを残してたみたいで」
「手紙と…プレゼント?」
「なになに?場地、イズミっちに何書いて何残してたんだぁ?」
「場地君、和泉の漢字なんかすげぇ歪に書いてんなぁ……」
わいわいと5人は俺の周りを囲うようにやって来て、俺はその様子に苦笑しながらもまずは箱を開けてみようと思いリボンを解いた。
そして箱を開けてみれば中からブレスレットがあり、首を傾げる。
「ブレスレット……」
「これ…チャームブレスレットだな」