The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「……集会の時に神社で拾ったんですよ…」
「お守り…?」
「それって」
龍宮寺先輩と三ツ谷先輩は驚いた顔をしながら、佐野先輩が持っているお守りへと視線を注ぐ。
そういえばこのお守りの中にはまだ幼い頃の佐野先輩に三ツ谷先輩と龍宮寺先輩に羽宮一虎…そしてけーすけくんの写真が入っていた。
「場地…ずっと持ってたのか…?“あの日”のお守りた」
「場地…」
佐野先輩の周り龍宮寺先輩、三ツ谷先輩に羽宮一虎が集まっていた。
そして羽宮一虎は涙を浮かべながら、千冬の腕の中にいるけーすけくんを見る。
このお守りはもしかして創設メンバーにとっては思い出がある物なのだろうか。
そして佐野先輩はゆっくりと口を開いた。
お守りは東京卍會を結成した時に、創設メンバー全員のなけなしのお小遣いで買った物。
「これがその…結成記念のお守りだ。東卍を作ったのはオレじゃない……場地だ。………“誰かが傷ついたらみんなで守る。一人一人がみんなを守るチームにしたい”そうやってできたチームだったな」
佐野先輩の瞳に涙が浮かぶ。
真っ黒で冷たい瞳には温かさが戻っていて、優しい笑みを浮かべていた。
そして龍宮寺先輩も三ツ谷先輩も涙を流していて、釣られるようにまた涙が溢れる。
「場所君はずっと一人で戦ってたんスね…。その日の約束を守る為に…」
「ゴメンな…場地」
けーすけくんはずっとずっと守ろうと戦ってた。
命を張ってまで、自分の命を絶つまでずっと一人で守ろうと戦ってきたのだ。
「けーすけくん…想い、通じたね……」
溢れる涙を拭いながら、眠るように目を閉じているけーすけくんを見た。
そしてけーすけくんの元に行き膝を地面に着いてから、冷たくなってしまった手を握る。
すると遠くからサイレンが聞こえた。
パトカーと救急車のサイレンはこちらにやった来ており、誰かが呼んだのがやっと来たのだろう。
「警察だ」
「帰んぞオマエら」
「解散だ!はけろはけろ!!」
ギャラリーは慌てたように帰っていき、その場にいた東卍メンバーは焦ったような顔で『どうしよう』と言いながらキョロキョロとしている。
すると羽宮一虎がゆっくりと立ち上がった。
「オレは場地と残る。みんな行ってくれ」
「一虎君…」
「オレの起こした事だ。自分でケジメをつけたい」
「……わかった」