The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「殺す。殺す!!」
何度も何度も佐野先輩は羽宮一虎を殴り続け、地面にピシャッと血が付着する。
それを振り返り見ていたが、足が上手く動かなくて声も出ない。
けーすけくんにストッパーになってくれと言われたのに、俺は上手く出来ないようだ。
「…タケミっち、和泉。やっぱり場地さんは東卍を裏切ってなんかなかった。一人で戦ってたんだ!オレはそれをわかってたのに…わかってたのに…まもれなかっま!!救えなかった!!あ"ぁ"あ"ぁ"あ“!!!!」
俺だって何も出来なかった。
あの時無理矢理にでも止めれば良かったのに、なんで止めなかったんだろう。
何で何で幼馴染なのに気付けなかったんだろう。
結局また死なせた。
大切な人を目の前でまた失った…もう失わないって決めたのに。
何もかも出来なかった。
「けーすけくんっ……、けーすけくんっ…!」
「ゴメン場地君」
ボソリと武道が謝ったのが聞こえた。
振り向いた時には何故か武道は青空を見上げていて、涙を溢れさせている瞳を大きく開いている。
そして何かを決意したような顔をすると何故か突然叫びながら走り出した。
「武道!?」
「あ"あ"あ"ぁ"ぁ"!!!」
そして叫びながら走って行った武道は、佐野先輩と羽宮一虎の間を両手を広げて入る。
羽宮一虎は立ってはいるが白目を向いており今にも倒れそう。
もう何発殴られていれば死んでいたかもしれない。
だが佐野先輩は武道が間に入ったからといって、落ち着いてなんかいない。
羽宮一虎に向けていた殺気を武道に向けていた。
「どけ…テメェも殺すぞ」
「もうやめましょう!!マイキー君」
そう言い止めようとした武道の事を佐野先輩は殴り飛ばしていた。
佐野先輩の殴った威力により武道は地面に倒れたが、それでも立ち上がり佐野先輩を見上げる。
「場地君はこんな事望んでねぇよ!!」
だが佐野先輩は聞く耳なんて持たない。
武道を足で蹴り飛ばしてから、何処までも真っ黒で冷たい目で見下ろしていた。
「テメェが場地を語ってんじゃねぇよ」
「っ……」
その言葉に唇を噛み締めてから、勢いよく立つと千冬が目を見開かせて驚いていた。
そして俺はゆっくりと歩き出すと武道と佐野先輩の間に入り込む。
するとやっぱり佐野先輩は真っ黒で冷たい目で俺を睨みんでくる。