The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
だから佐野先輩は稀咲を参番隊の隊長に任命した。
全ては林田先輩を助けたいが為に、敵であった稀咲を東京卍會に入れたのか。
「参番隊隊長は…稀咲じゃねぇ!!東卍はオレら6人で立ち上げた。どんな理由があっても参番隊 隊長はパーだけなんだ」
「場地さん…」
けーすけくんの目尻に涙が溜まる。
林田先輩が捕まった時にあまり反応を示さなかったけど、本当は人1番思っていた。
そして敵である稀咲を追い出そうとしたのだ。
「パーちん…三ツ谷…ドラケン…マイキー、一虎。“東卍創設メンバー(あいつら)”はオレの“宝”だ」
ポロポロと落ちるけーすけくんの涙に釣られるように、俺や武道と千冬もボロボロと涙を落とす。
けーすけくんはずっとずっと東京卍會の事を思っていたんだ。
東京卍會を守りたかったから芭流覇羅に行って、羽宮一虎を助けたくてこうやって自分を傷付けて…。
1人で全部背負おうとした。
「オレ一人でなんとかしたかった。でも、まあわ無理そうだ。オレは『自分で死んだ』」
「けーすけくん…」
「マイキーが一虎を殺す理由はねぇ…」
そう言いながらけーすけくんは武道へと視線を向けてから小さく笑った。
何が見えているのか何処か目は虚ろになっている。
「……いよいよだな…。幻覚まで見えてきやがった」
「…え?」
「タケミチ。お前はどこか真一郎君に似てる」
その言葉に目を見開かせた。
確かに武道は真一郎君に似ているなと何度か思ったことがある。
見た目とかの話じゃない…性格や纏う雰囲気が似ているのだ。
そしてけーすけくんはタケミチを見てから口を開く。
「マイキーを…東卍を…オマエに託す!!」
「ダメだよ場地君。そんな事言わないで!!」
ボロボロと大粒の涙を流しながら、悔しそうに苦しそうに泣く武道をけーすけくんは静かに微笑みながら見ていた。
そしてその視線はオレへと移る。
「和泉。なぁ、和泉」
「……なに?」
「オレは、オマエには幸せになってほしいんだ。自分を偽らねぇで、自分らしく生きてほしい。三ツ谷と笑いあって欲しいんだ……」
「うんっ…」
「オマエはオレの…大事な、幼馴染だから……」
「俺もだよ…っ!けーすけくんは大事な幼馴染だから、大切だから……お願いだから死なないでよっっ…!」
「……和泉」