The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
遊具の隅から声がする。
なんで叫んでいるのだろうかと思いながら、歩いていけば小学生か保育園生ぐらいの女の子2人にサラリーマン姿の中年男が一人いた。
そして1人の小学生ぐらいの女の子が小さい女の子を守るように抱え込んでいる。
「そんな叫ばなくても大丈夫。ただね、ただおじさんと遊んでくれるだけで良いんだから。ねぇ?お菓子もあげるからおいでよ、ほら」
「触らないで!!!」
「嫌だ!!」
見るからに変質者。
あんな幼い女の子達に発情してるのか知らないが、顔は赤らんでいるし呼吸も荒い。
中年男を見ると嫌な記憶が蘇りながらも、舌打ちをすると直ぐに3人の元に向かう。
そして中年男の肩を力を込めて掴んだ。
「おい、オッサン。何やってんだ?」
「え、え?」
「何やってんだって聞いてんだ。そんな小さい子達の腕掴んで……何しようとしてるんだ?」
「い、いや…その……」
「警察呼ばれたくないなら……今すぐ消えろ」
目を細めて圧をかけるようにそう言葉を発すると、中年男の顔色は一気に悪くなる。
そして女の子達の腕を勢いよく離すなり、走ってこの場から逃走した。
「警察って言ったぐらいで逃げるとか…根性無しもいい所だな。……大丈夫?」
溜息を零してから、怖がらせないように威圧感を出さないように屈んで目を合わせてからそう尋ねる。
小学生ぐらいの女の子はカタカタ震えながら、青ざめた表情をしていた。
「偉いね。変質者から守ろうとして」
「うっ…ひぅ」
「君は強い子だね」
怖かっただろうに。
それなのに恐らく顔が似ているから姉妹なのだろう…妹を守ろうとして強い子だ。
そう思いながら鳴海ねぇが、幼い頃の俺に接してくれた時のように柔い口調で褒めてやる。
そして安心させる為にその頭を優しく撫でてやると、我慢していたのか涙が溢れ出した。
「ひっ、うう、うわぁああん!!!」
「う、ひっぐ…えぇええ!!」
泣く女の子達を見ながら、どう泣き止ませようかと悩んでいる時であった。
遠くから誰かを呼ぶ声が聞こえたのは。
「ルナ〜?マナー??」
「お兄ちゃんっ!!!」
「お兄ちゃん??」
公園の入口前にはシルバーパープルの髪に、左耳に十字架のような模様のピアスを付けて薄紫の瞳をした男が立っていた。
そして女の子達はその男を見ると『お兄ちゃん』と叫び出す。