The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
佐野先輩の蹴りが修二の顔に当たり、そのまま修二は白目を向いてから倒れた。
恐らく頭の近くに当たっていたせいで脳震盪を起こして失神している。
「ホラ、終わった」
「修二…」
佐野先輩が呟いた瞬間周りが静まり返る。
芭流覇羅の人間らは唖然とした顔で失神している修二を見ている。
まさか修二が一撃でヤられるとは思っていなかったのだろう。
そして一気にざわつき始めた。
「半間さん……?」
「ウ…嘘だろ…」
「インチキだ」
「はんまさんが一撃…!?」
「絶ッ対ェなんかのイカサマだろ!?」
どよめきが広がっていたが、芭流覇羅メンバーは直ぐに後ろに下がり始める。
その顔にはただ恐怖しか無く、佐野先輩を見ながら後退りをしていく。
そして一斉に逃げ出した。
「逃げろ!!!殺さされるぞ!!!」
誰かの言葉に共鳴するかのように、芭流覇羅メンバーの殆どが逃げ出した。
そのせいか殆ど人数が居なくなってしまい、佐野先輩達の周りには東卍メンバーしかいなくなってしまう。
そして佐野先輩には座り込んだ羽宮一虎の姿。
羽宮一虎は佐野先輩を見上げると、狂ったような笑みを見せていた。
「人は誰しもが裏切る…」
ボソッと呟いた羽宮一虎は、笑みを浮かべながら立ち上がるがその笑みは狂気的だった。
目元には青筋が浮かんでいる。
「終わらせようぜマイキー。テメェが死ぬか、オレが死ぬかだ」
そう言う羽宮一虎を佐野先輩は無言で殴り飛ばし、羽宮一虎はその場に尻餅を着く。
このままでは本当に2人は殺し合いをしそうだ…だが佐野先輩はけーすけくんが生きていれば羽宮一虎を殺さないかもしれない…。
「けーすけくんっ……」
だがけーすけくんは意識がない。
未だに流れ続け、指の間から溢れ出す血に視界がじわりと歪んでいく。
目頭が熱くなり涙が溜まり始めるのが分かった。
「けーすけくん……やだ、やだっ……」
「場地さん!場地さん……っ!おい!!救急車呼べ!!!早く!!!」
「けーすけくんっ」
名前を呼ぶがけーすけくんは反応しない。
そして佐野先輩は座り込む羽宮一虎にゆっくり近づいていた。
「大事なモン壊すしか脳がねぇなら、オレがここで…壊してやる」
座り込んでいる羽宮一虎を蹴り飛ばし、倒れた彼の上に佐野先輩は乗っかる。
そして何度も何度も殴りつけていく。