The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
そしてやっと体は動き、ゆっくりと振り返ればけーすけくんは参番隊の隊員が集まる廃車の山の前に立っていた。
殆どが稀咲が連れてきた人間達…つまりけーすけくんを叩き殺そうとするヤツらの部下だ。
「さて。参番隊50人VS.1(オレ)!!」
「まさか…1人で……?」
一人で50人と戦おうとしているけーすけくんに目を見開かせていれば、彼は下ろしていた髪の毛をまとめてから1つに結んでいく。
そして髪の毛を縛ると顔を上げた。
「上等、上等」
その言葉には余裕があり、けーすけくんは近くにあった鉄パイプを手にする。
確かにけーすけくんぐらいなら、50人は普通に行けるかもしれないが怪我をしているかもしれないのになんて無茶をするのだろう。
でも分かっている。
俺が駄目と言ってもけーすけくんは止まらない事を知っているのだ。
「行くぞオラァァァ!!」
「いくら場地君でも50VS.1は…」
「けーすけくんなら…いける」
「和泉……さっき、場地君に何か言われてなかった?何か言ってた?」
「佐野先輩と千冬を頼むって……それと、意味が訳らないけど約束守れないって。また辛い思いさせるって…」
「どういう意味だ……?」
「分からない……」
あの言葉の意味はどういう事なのだろう。
そう思いながら、一気に4人も殴り飛ばしていくけーすけくんを見ていれば武道が目を見開かせて声を上げた。
「うおっ強えぇ!!一瞬で4人も!?」
「舐めんなよタケミっち。場地さんは稀咲ををやるって言ったろ?あの人はできねーやくそくなしねーんだよ!」
「出来ない約束はしない……」
なら俺との約束は守れないというのはどういう事なんだろう…俺にまた辛い思いをさせるってどういう意味だ。
そう思いながら参番隊を散らしていくけーすけくんの背中を見続ける。
(けーすけくん…。けーすけくんは何を考えてるわけ?)
あの日、けーすけくんが東京卍會から抜けた時からもうけーすけくんが何を考えているのか分からなくなった。
幼馴染と言ってもいい関係で、ある程度はけーすけくんの事を知っていると思ったし考えている事も分かると思っていたけど…。
「何も…分からないよ」
今の俺は君の事が何も分からない。
もし…真一郎君や鳴ねぇが生きていれば分かったのだろうか。
こんな事にならなかったのだろうか。