The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「うおおおぉ!!」
けーすけくんが刺された。
そう認識して直ぐに武道が羽宮一虎に体当たりしてから、2人が転げ落ちていく。
それを横目に見てから俺は直ぐにけーすけくんに駆け寄る。
「けーすけくん……さ、刺されて……ち、ちが…」
「落ち着け…和泉」
「救急車っ…救急車よば、呼ばないと……」
「和泉」
俺は完全にパニックになっていた。
脳裏にはあの日、秋にぃがおじさんを刺した時の光景がフラッシュバックしている。
そのせいなのか手は震えて、声も完全に震えていてどうすれば良いのか…どうしようとグルグルと考えた。
すると俺の震えている手をけーすけくんが握る。
落ち着かせるように、優しく握ってくるその手は暖かくて荒い息がなんとか落ち着く。
「場地君!!?大丈夫っスか!?」
下の方から慌てた武道の声が聞こえ、けーすけくんは俺の手を離すと立ち上がる。
刺された筈なのにしっかりと立っていた。
「カスリ傷だ。助かったぜ、タケミチ」
「場地君…!」
「か、カスリ傷な訳無い!刺されたんたよ!?」
「カスリ傷だ。その証拠に立ってんだろ、オレ」
「そうだけど……!」
絶対カスリ傷なんかじゃない。
羽宮一虎が影になって見えていなかったけど、刺された筈なんだ。
それなのにカスリ傷で済むわけがない。
病院に連れいかないと。
もし本当にカスリ傷だったとしても、抗争に参加なんてしていれば傷口が開く。
「病院、救急車呼ぶから!」
「その必要はねぇよ。言ったろ?カスリ傷だ」
「一虎ぁぁ!!」
けーすけくんの声を掻き消すように千冬の叫び声が響き渡り、思わず下へと視線を向ける。
そこには千冬がすごい剣幕で羽宮一虎の胸ぐらを掴んでいる姿があった。
「テメー何してくれてんだコラ!!」
千冬が叫ぶも羽宮一虎は戦意喪失なのか、生気の無い目をしていて反応を示さない。
だが何故羽宮一虎はけーすけくんを襲ったのだろうか…そう思いながら立っているけーすけくんを見た。
怪我の心配はあるが、取り敢えず生きている。
死んでいないことにホッとしながらも、羽宮一虎への謎は解けないまま。
「……生きててくれて良かった」
「良かった…」
「あ?何言ってんだテメーら。オレは稀咲を殺る!!黙って見とけタケミチ!!和泉!!」