The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
そういう事なのだろうか…と悩んでいれば、けーすけくんは手に持っていた鉄パイプで千冬を殴っていた。
しかも遠慮なんて無くてかなり力強く殴っていて、千冬はその場に崩れ落ちがけーすけくんはそれを気にせずに背中を向けて俺を見る。
「いい気になんなよ、千冬ぅぅ!テメーをオレの横に置いたのは喧嘩の腕を買っただけ。テメーの考えなんてどーでもいーんだよ」
「オレは壱番隊副隊長!!!場地さんを守る為にここにいる!!どーしてもこの先に行くなら、オレも容赦しねーぞ!!」
千冬は声を張り上げながら、オレとけーすけくんの間に入ってから拳を握りしめていた。
だがけーすけくんは慌てる表情なんてしておらず、ただ冷たい目をしている。
挑発しているようにも見える目。
そして敵意も感じるような目に、千冬の息が荒くなっているのが分かる。
「やってみろ。10秒やる」
「え!?」
「10!9…8…7…6…どーした?5…容赦しねーんじゃねーのか?」
千冬はけーすけくんを殴れない。
そんなの一目瞭然なのに、けーすけくんはわざと言っているのだ。
「けーすけくん!」
「和泉、テメーは黙ってろ」
「っ……」
千冬が殴れないなら俺が止めようと足を1歩踏み込めば、けーすけくんが睨み付けてくる。
その睨み方に思わず足が止まり息飲めば、けーすけくんはまた千冬を見る。
「殺さねーと止まんねーぞ。オレは」
「けーすけくん…」
「4…3…2…1……ゼロ」
「うおおおおおお!!」
ゼロという言葉に合わせて声が聞こえたと思えば、武道が叫びながら走ってきてけーすけくんの体に飛びついた。
まさかの人物に現れたことにより、けーすけくんは目を見開かせる。
そして俺と千冬も驚きながら、けーすけくんを止めるように抱きつく武道を見た。
ただ動けなかった俺と千冬は違って武道は動いたのだ。
「武道!?」
「タケミっち!?」
「千冬!!和泉!!一緒にに場地君を止めんぞ!!」
「ちっ!」
「うん!」
何で俺は動けなかったのだろう。
そう思いながらけーすけくんを後ろから抑えるように抱きつけば、耳元で舌打ちが聞こえた。
そして千冬の方を見たが何故か動かずに立ち止まっている。
「千冬!?」
「千冬!!!」
「ダメだ、タケミっち。和泉」
「え!?」